平成3年(1991)本試験
問49保全措置が必要な「手付金等」と、不要な「所有権移転後の残代金」の区別、および「未完成物件」の20%基準の適用。
手付金等の保全措置過去問
この問題の全体像
未完成物件の自己売主における手付金等保全措置の適用タイミングと金額基準を問う問題。代金の20%未満の手付金受領時は不要であり、所有権移転後の残代金受領時も不要という基本原則の理解が問われる。
宅地建物取引業者Aは、土地付建物(価格1億5,000万円)を、建築工事の完了前に自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bに販売し、申込証拠金30万円を受領した後、売買契約を締結し、その際手付金として申込証拠金を充当するほか別に2,000万円を受領した。契約によれば、中間金6,000万円を1月後に、残代金6,970万円を所有権移転登記完了後にそれぞれ支払うこととされている。この場合、宅地建物取引業法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
- 1Aは、手付金の受領後1週間以内に、宅地建物取引業法に定める手付金等保全措置(以下この問において「手付金等保全措置」という。)を講じなければならない。
- 2Aが契約締結時に手付金等保全措置を講じなければならない金額は、2,000万円である。
- 3Bは、Aが手付金等保全措置を講じた後は、手付金を放棄して契約を解除することができない。
- 4Aは、残代金の受領については、手付金等保全措置を講ずる必要はない。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
保全措置が必要な「手付金等」と、不要な「所有権移転後の残代金」の区別、および「未完成物件」の20%基準の適用。
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02
深度分析
未完成物件の自己売主における手付金等保全措置の適用タイミングと金額基準を問う問題。代金の20%未満の手付金受領時は不要であり、所有権…
03
知識背景
宅建業法における手付金等保全措置は、未完成物件等の売買において、業者が倒産等した場合に買主が手付金等を返還されないリスクを防ぐための…
04
覚え方
「未完成は二割、完成は一割、登記後はナシ」。未完成物件は20%、完成物件は10%を超えたら保全が必要。登記後の残代金は対象外。
05
試験のコツ
保全措置のタイミング(受領前か後か)
・基準額の計算ミス(20%か10%か)
・手付解除権の有無との混同
06
実務での見え方
分譲マンションの販売現場では、契約時に手付金を受領する際、必ず保証書を交付する。この手続きを怠ると業者は罰則を受ける。
07
よくある間違い
{"mistake":"保全措置が必要な金額基準を未完成と完成で混同する。","why_wrong":"暗記が曖昧で、単に「10%」…
02深度分析
要約
未完成物件の自己売主における手付金等保全措置の適用タイミングと金額基準を問う問題。代金の20%未満の手付金受領時は不要であり、所有権移転後の残代金受領時も不要という基本原則の理解が問われる。
法的根拠
宅地建物取引業法第41条(手付金等の保全措置)宅地建物取引業法第41条の2(手付金等の保全措置における免許権者による指示等)民法第557条(手付)
論理の流れ
まず、未完成物件の売買であるため、代金の20%(3000万円)以上を受領する前に保全措置が必要。契約時の受領額は2030万円であり、20%未満なので措置不要。中間金6000万円を受け取る際は、合計受領額が8030万円となり20%を超えるため、その受領前に措置が必要。残代金は所有権移転後の受領なので措置不要。よって選択肢4が正解。
重要な区別
保全措置が必要な「手付金等」と、不要な「所有権移転後の残代金」の区別、および「未完成物件」の20%基準の適用。
各選択肢のポイント
- 保全措置は受領前に行う必要があり、受領後1週間では遅すぎる。
- 契約時受領額2030万円は価格の20%未満のため、保全措置は不要である。
- 保全措置を講じても、買主は手付を放棄して契約解除できる権利を失わない。
- 残代金は所有権移転登記完了後の受領であり、保全措置の対象外である。
03知識背景
テーマ概要
宅建業法における手付金等保全措置は、未完成物件等の売買において、業者が倒産等した場合に買主が手付金等を返還されないリスクを防ぐための制度。金融機関の保証や保険事業者の保証等が利用される。
歴史的背景
昭和50年代の地価高騰とマンション販売トラブルの増加により、消費者保護の観点から強化された制度。未完成物件のリスクが高いため、完成物件よりも厳しい規制(20%基準)が設けられている。
関連法令
宅地建物取引業法第41条宅地建物取引業法第41条の2宅地建物取引業法施行令第3条の4
体系的位置づけ
宅建業法の「8種規制」の中でも「クーリングオフ」「手付金等の保全措置」と並び、特に重要な消費者保護規定として出題頻度が極めて高い分野。
前提知識
「自己売主」「未完成物件」「手付金等の定義」「20%の基準計算」「所有権移転前後の違い」を理解している必要がある。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「未完成は二割、完成は一割、登記後はナシ」。未完成物件は20%、完成物件は10%を超えたら保全が必要。登記後の残代金は対象外。
ビジュアル描写
物件の完成度に応じてハードルが変わるイメージ。未完成=高いリスク(20%)、完成=リスク低下(10%)、鍵渡し・登記=リスク解消(0%)。
重要公式
保全措置必要額 = 受領額 - (価格 × 20%または10%)。ただし未完成なら20%、完成なら10%。
関連連想
「手付金等」=「まだ家が完成していない時の前金」。完成して名義が変わった後の金は「残代金」で別物。
比較表
未完成物件:20%超で保全必要。完成物件:10%超で保全必要。共通:所有権移転後の残代金は不要。
05試験テクニック
出題頻度
毎年出題。頻出論点の王道。
重要度
A:最重要。8種規制の中核であり、計算問題や正誤判定の基本となるため。
出題パターン
- 保全措置のタイミング(受領前か後か)
- 基準額の計算ミス(20%か10%か)
- 手付解除権の有無との混同
解法・消去法
「受領後」に措置という記述があれば即×。「手付解除ができなくなる」とあれば即×。これらで消去法を使う。
時間戦略
計算問題だが数字は単純。まず「未完成か完成か」「20%か10%か」を確認し、即座に判断する。1分以内で解答可能。
06実務応用
実務シナリオ
分譲マンションの販売現場では、契約時に手付金を受領する際、必ず保証書を交付する。この手続きを怠ると業者は罰則を受ける。
実務への影響
買主にとっては、最悪の事態でも手付金が返ってくる安心感を提供し、業者にとっては信頼性を示す必須コンプライアンス手続き。
ケーススタディ
過去、業者が倒産し保全措置がなかったため、買主が手付金を失った事例がある。この法律はそのような被害を防ぐためのセーフティネット。
業界関連性
不動産流通業界における取引安全性を担保する根幹をなす制度であり、全業者が遵守義務を負う。
ニュース連動
近年の不動産詐欺や未完成物件のトラブルニュースにおいて、この保全措置が適切に講じられていたかが焦点となる。
07よくある間違い
保全措置が必要な金額基準を未完成と完成で混同する。
なぜ間違えるか:暗記が曖昧で、単に「10%」と覚えてしまっていることが多い。
正しい理解:「未完成=二割(20%)」とセットで覚える。
残代金の受領にも保全措置が必要だと誤解する。
なぜ間違えるか:「手付金等」という言葉の範囲を正しく理解していない。
正しい理解:「登記後=取引完了=保全不要」とイメージする。
保全措置を講じると手付解除ができなくなると勘違いする。
なぜ間違えるか:制度の趣旨を「買主の保護」ではなく「業者の保護」と捉えている。
正しい理解:「保全=金が戻る保証、解除=契約やめる権利」と切り離して考える。
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