平成5年(1993)本試験
問43保全措置の「タイミング」。代金を受領する「前」に措置を講じているかが最も重要な判断ポイント。
8つの規制過去問
この問題の全体像
未完成物件の売買における手付金等の保全措置のタイミングに関する問題。業者が代金の5%(または1000万円)を超える手付金を受領する際、保全措置を事前に講じていなければならない点が問われる。
宅地建物取引業者Aは、自ら売主となって、建築工事完了前の建物を、宅地建物取引業者でない買主Bに代金6,000万円で譲渡する契約を締結し、手付金として500万円を受け取った。この場合、次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはどれか。
- 1契約締結の際、ABの合意で、「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、Bは手付を放棄して、また、Aは手付の3倍の額を償還して、契約を解除することができる」との特約を結んだ。
- 2契約締結の際、ABの合意で、「当事者の一方が契約の履行に着手した後契約を解除するには、1,200万円の違約金を支払わなければならない」との特約を結んだ。
- 3契約締結の1週間後に中間金1,000万円を支払うこととされていたので、Aは、手付金500万円について、中間金受領の際に、まとめて手付金等の保全措置を講じた。
- 4Aは、手付金等の保全措置について、C信用金庫と保証委託契約を締結し、その連帯保証書をBに交付した。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
保全措置の「タイミング」。代金を受領する「前」に措置を講じているかが最も重要な判断ポイント。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
未完成物件の売買における手付金等の保全措置のタイミングに関する問題。業者が代金の5%(または1000万円)を超える手付金を受領する際…
03
知識背景
この問題は、宅建業者が自ら売主となる場合の「手付金等の保全措置」に関する知識を問うている。特に、物件が「未完成」である場合の基準額(…
04
覚え方
未完成は「5・10(ゴ・トウ)」、完成は「10・20(トウ・ニ)」。未完成は工事が進んでいないので基準も低く(5%)、完成は基準が高…
05
試験のコツ
未完成物件の5%・1000万円の基準額計算
・保全措置のタイミング(受領前か受領後か)
・保全措置の方法の適否(保証機関の適格性など…
06
実務での見え方
マンション購入時に、売主であるデベロッパーが倒産した場合、保全措置が講じられていれば、保証機関が手付金を返還する。
07
よくある間違い
{"mistake":"未完成物件と完成物件の基準額を混同する。","why_wrong":"パニックになると「未完成だから工事費が…
02深度分析
要約
未完成物件の売買における手付金等の保全措置のタイミングに関する問題。業者が代金の5%(または1000万円)を超える手付金を受領する際、保全措置を事前に講じていなければならない点が問われる。
法的根拠
宅地建物取引業法第41条第1項宅地建物取引業法第41条の2宅地建物取引業法第39条第2項民法第557条
論理の流れ
まず、未完成物件の保全措置が必要な額は代金の5%または1000万円のいずれか低い方である。本問では6000万円の5%である300万円が基準となる。業者Aは500万円の手付金を受領しているため、受領前に保全措置が必要であった。選択肢3では、中間金受領時にまとめて保全措置を講じているが、手付金受領時点で既に300万円を超えているため、この時点で措置がなされていないのは違反となる。
重要な区別
保全措置の「タイミング」。代金を受領する「前」に措置を講じているかが最も重要な判断ポイント。
各選択肢のポイント
- 宅建業法41条の2により、履行着手前の解約について特約を定めることは認められているため違反ではない。
- 違約金1200万円は代金6000万円の20%に相当し、宅建業法39条2項の上限内であるため違反ではない。
- 手付金500万円は保全措置が必要な額(300万円)を超えているため、受領前に保全措置を講じる必要がある。
- 信用金庫との保証委託契約は、宅建業法41条1項に規定される適切な保全措置の方法である。
03知識背景
テーマ概要
この問題は、宅建業者が自ら売主となる場合の「手付金等の保全措置」に関する知識を問うている。特に、物件が「未完成」である場合の基準額(5%か1000万円の低い方)と、措置を講じるタイミング(受領前)が重要。
歴史的背景
手付金等の保全措置制度は、宅建業者の倒産等により買主が手付金を返してもらえない事態を防ぐために設けられた。未完成物件のリスクが高いことから、完成物件よりも厳しい基準が適用されている。
関連法令
宅地建物取引業法第41条(手付金等の保全措置)宅地建物取引業法施行規則第5条の4(保全措置の具体的方法)
体系的位置づけ
「8つの規制」の中の「自ら売主となる場合の規制」に属する重要分野。特に金額計算とタイミングは頻出。
前提知識
未完成物件と完成物件での保全措置が必要な金額の違い(5%・1000万円 vs 10%・1000万円)、および保全措置の3つの方法(保証委託契約、保険契約、信託契約)の理解が必要。
04記憶テクニック
語呂合わせ
未完成は「5・10(ゴ・トウ)」、完成は「10・20(トウ・ニ)」。未完成は工事が進んでいないので基準も低く(5%)、完成は基準が高くなる(10%)と覚える。
ビジュアル描写
手付金を受け取る手の前に、大きな盾(保全措置)を構えているイメージ。盾がないままお金を受け取ると違反。
重要公式
未完成:min(価格×5%, 1000万)、完成:min(価格×10%, 1000万)
関連連想
「未完成」=「不安定」=「早めに(低い金額で)守れ」と連想させる。
比較表
未完成物件:代金の5%または1000万円(低い方)超えると必要。\n完成物件:代金の10%または1000万円(低い方)超えると必要。
05試験テクニック
出題頻度
毎年出題。特に8つの規制の中で最も頻出論点の一つ。
重要度
A:最重要。実務でも必須の知識であり、計算問題や組み合わせ問題で必ず出題される。
出題パターン
- 未完成物件の5%・1000万円の基準額計算
- 保全措置のタイミング(受領前か受領後か)
- 保全措置の方法の適否(保証機関の適格性など)
解法・消去法
「手付金等の保全措置」という言葉が出たら、まず「金額基準」と「受領前」の2点をチェックし、どちらかに違反している選択肢を探す。
時間戦略
計算問題は即座に判断できるため、まずは計算して基準額を算出し、選択肢を絞り込むと時間を節約できる。
06実務応用
実務シナリオ
マンション購入時に、売主であるデベロッパーが倒産した場合、保全措置が講じられていれば、保証機関が手付金を返還する。
実務への影響
買主の資金が守られるため、不動産取引に対する信頼性が向上し、市場が安定する。
ケーススタディ
デベロッパー破綻時、手付金500万円を支払っていたが保全措置がなければ全額失うリスクがあるが、措置があれば返還される。
業界関連性
宅建業者にとっては契約手続きの必須プロセスであり、これを怠めば業務停止処分の対象となる。
ニュース連動
近年の不動産暴落局面やデベロッパーの経営破綻ニュースにおいて、本制度の重要性が再認識されている。
07よくある間違い
未完成物件と完成物件の基準額を混同する。
なぜ間違えるか:パニックになると「未完成だから工事費がかかってるから基準が高い」と誤って思い込むことがある。
正しい理解:「未完成=5%」とセットで暗記し、「完成=10%」と対比させて覚える。
手付金だけでなく中間金も保全対象であることを忘れる。
なぜ間違えるか:問題文で「手付金」という言葉に意識が向きすぎて、後で支払う「中間金」についての記述を見落とす。
正しい理解:用語を「手付金」ではなく「手付金等」として認識し、金銭の受領全般に注意を払う。
保全措置のタイミングを「受領後」でも良いと誤解する。
なぜ間違えるか:「契約締結時」や「支払い時」に措置すればいいと思い込み、「受領前」という厳密なタイミングを軽視する。
正しい理解:「先に盾、後に金(先に保全、後に受領)」とリズムで覚える。
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