平成12年(2000)本試験

6

債権譲渡過去問

この問題の全体像

債権譲渡の対抗要件である「通知」と「承諾」の具体的な要件、二重譲渡における優劣判定基準、そして異議を留めない承諾が債務者の抗弁権に与える影響について問う問題です。

平成12年6
Aが、Bに対して有する金銭債権をCに譲渡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
  • 1譲渡通知は、AがBに対してしなければならないが、CがAの代理人としてBに対して通知しても差し支えない。
  • 2Bが譲渡を承諾する相手方は、A又はCのいずれでも差し支えない。
  • 3Aが、CとDとに二重譲渡し、それぞれについて譲渡通知をした場合で、Cに係る通知の確定日付はDに係るものより早いが、Bに対しては、Dに係る通知がCに係る通知より先に到達したとき、Dへの債権譲渡が優先する。
  • 4Bが、既にAに弁済していたのに、AのCに対する譲渡を異議を留めないで承諾した場合、Bは、弁済したことをCにもAにも主張することができない。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
債権譲渡の対抗要件である「通知」と「承諾」の具体的な要件、二重譲渡における優劣判定基準、そして異議を留めない承諾が債務者の抗弁権に与える影響について問う問題です。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
債権譲渡の対抗要件である「通知」と「承諾」の具体的な要件、二重譲渡における優劣判定基準、そして異議を留めない承諾が債務者の抗弁権に与…
03
知識背景
指名債権の譲渡は、当事者間では合意のみで効力を生じますが、債務者その他の第三者に対抗するためには、債務者への「通知」または債務者の「…
04
覚え方
通知は譲渡人、承諾は誰でも。二重譲渡は早い者勝ち。異議なき承諾は、新主人には言えないが、旧主人には言える。
05
試験のコツ
二重譲渡の優劣 ・通知・承諾の相手方と方法 ・異議なき承諾の効果
06
実務での見え方
建設業者Aが工事代金債権を金融機関Cに譲渡して資金調達する場合、注文主Bへの通知が必須となる実務例。
07
よくある間違い
{"mistake":"二重譲渡の優劣を確定日付の早さで判断してしまう間違い。","why_wrong":"条文の文言を誤読し、第三…
02深度分析
要約
債権譲渡の対抗要件である「通知」と「承諾」の具体的な要件、二重譲渡における優劣判定基準、そして異議を留めない承諾が債務者の抗弁権に与える影響について問う問題です。
法的根拠
民法466条(債権の譲渡性)民法467条(指名債権の譲渡の対抗要件)民法468条(譲渡人の債務者に対する通知又は承諾)
論理の流れ
選択肢1は代理人による通知が認められるため正しい。選択肢2は承諾相手が譲渡人・譲受人のどちらでもよいため正しい。選択肢3は二重譲渡において「確定日付」ではなく「通知の到達順」が優先する判例理論に基づき正しい。選択肢4は、異議なき承諾をした場合でも、既に弁済していた事実を「譲渡人A」に対して主張できないことはなく、Aには主張できるため誤りである。
重要な区別
異議を留めない承諾をした場合、債務者は譲受人(C)に対する抗弁を切断されるが、譲渡人(A)に対する関係では既払いなどの事実を主張できるという点。
各選択肢のポイント
  • 通知は譲渡人Aがすべきだが、譲受人CがAの代理人として通知することも民法467条の趣旨に反しないため正しい。
  • 承諾は譲渡人Aに対しても、譲受人Cに対してもすることができ、いずれも対抗要件として有効であるため正しい。
  • 二重譲渡の場合、確定日付の早晚にかかわらず、債務者への通知が先に到達した方が優先するという判例に基づき正しい。
  • 異議なき承諾をしても、既に弁済した事実を譲渡人Aに主張できないことはなく、Aに対しては主張できるため誤り。
03知識背景
テーマ概要
指名債権の譲渡は、当事者間では合意のみで効力を生じますが、債務者その他の第三者に対抗するためには、債務者への「通知」または債務者の「承諾」が必要です。この制度は債権の流動化を図るために不可欠です。
歴史的背景
民法制定当初から債権譲渡の自由は認められていましたが、二重譲渡の際の優劣関係については、確定日付ある証書による通知という形式主義と、実際の到達時期を重視する判例の展開がありました。
関連法令
民法466条民法467条民法468条民法469条(質入との関係)
体系的位置づけ
民法「債権総則」の中でも特に実務的価値が高く、宅建試験においても頻出の重要分野です。不動産取引における代金回収や抵当権の処理に関連します。
前提知識
対抗要件とは何か、指名債権と指図債権の違い、確定日付のある証書(内容証明郵便等)の意味を理解しておく必要があります。
04記憶テクニック
語呂合わせ
通知は譲渡人、承諾は誰でも。二重譲渡は早い者勝ち。異議なき承諾は、新主人には言えないが、旧主人には言える。
ビジュアル描写
手紙(通知)がポストに届いた順番で勝負が決まるイメージ。古い主人(A)には既に払ったレシートを見せられるが、新しい主人(C)には盾を捨てたので見せられない。
重要公式
対抗要件=譲渡人からの通知 または 債務者の承諾。二重譲渡の優劣=確定日付ではなく「通知の到達順」。
関連連想
「異議なき承諾」=「武器(抗弁)を捨てる」。でも武器を捨てたのは「新しい相手(C)」に対してだけで、「古い相手(A)」には関係ない。
比較表
通知:譲渡人Aから債務者Bへ。承諾:債務者Bから譲渡人Aまたは譲受人Cへ。効果:いずれも対抗要件となる。
05試験テクニック
出題頻度
2-3年に1回
重要度
A:最重要。債権譲渡は民法の頻出論点であり、実務でも必須のため。
出題パターン
  • 二重譲渡の優劣
  • 通知・承諾の相手方と方法
  • 異議なき承諾の効果
解法・消去法
「絶対に~できない」「すべて~」といった強い表現は誤りである可能性が高い。本問では「Aにも主張できない」部分に注目。
時間戦略
基本的な条文知識があれば即答可能。二重譲渡の「到達時期」ルールを迷わず選べるようにする。
06実務応用
実務シナリオ
建設業者Aが工事代金債権を金融機関Cに譲渡して資金調達する場合、注文主Bへの通知が必須となる実務例。
実務への影響
債権流動化を円滑にし、企業の資金繰りを支援する法的基盤となる。
ケーススタディ
AがBに売掛金を持ち、CとDに二重譲渡。Dの通知が先にBに届いた場合、BはDに弁済しなければならない。
業界関連性
不動産証券化やファクタリング業務において、債権譲渡のルールは不可欠。
ニュース連動
債権譲渡特例法(登記ファイル)を活用したオフバランス化取引のニュースなどで関連性がある。
07よくある間違い
二重譲渡の優劣を確定日付の早さで判断してしまう間違い。
なぜ間違えるか:条文の文言を誤読し、第三者対抗要件である確定日付を債務者間の優劣基準と混同するため。
異議なき承諾をすると、譲渡人に対する抗弁も失うと考える間違い。
なぜ間違えるか:民法468条の効果が譲受人に対するものに限定されていることを理解していないため。
解説は、まだ続きます
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