平成12年(2000)本試験
問5
根抵当権過去問
この問題の全体像
根抵当権の設定範囲、極度額の変更可否、利息の優先弁済範囲、そして個別債権譲渡の効果について問う問題。普通抵当権との違いを正確に理解しているかが鍵となる。
根抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 1根抵当権は、根抵当権者が債務者に対して有する現在及び将来の債権をすべて担保するという内容で、設定することができる。
- 2根抵当権の極度額は、いったん登記がされた後は、後順位担保権者その他の利害関係者の承諾を得た場合でも、増額することはできない。
- 3登記された極度額が1億円の場合、根抵当権者は、元本1億円とそれに対する最後の2年分の利息及び損害金の合計額につき、優先弁済を主張できる。
- 4根抵当権の被担保債権に属する個別の債権が、元本の確定前に、根抵当権者から第三者に譲渡された場合、その第三者は、当該根抵当権に基づく優先弁済を主張できない。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
根抵当権の設定範囲、極度額の変更可否、利息の優先弁済範囲、そして個別債権譲渡の効果について問う問題。
この問題は、5 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
根抵当権の設定範囲、極度額の変更可否、利息の優先弁済範囲、そして個別債権譲渡の効果について問う問題。普通抵当権との違いを正確に理解し…
03
知識背景
根抵当権は、将来生じる不特定な債権を担保するために、一定の範囲に属する債権を極度額の限度で担保する制度。継続的な取引関係にある当事者…
04
覚え方
根抵当は個別譲渡でサヨナラ、極度額は承諾で増額可、利息は全額OK。
05
試験のコツ
元本確定前の個別債権譲渡の効果
・極度額の変更と利害関係人の保護
・被担保債権の範囲の特定性
06
実務での見え方
企業が銀行から根抵当権付きで融資を受け、その後売掛金をファクタリング会社に譲渡した場合、ファクタリング会社は根抵当権を行使できず、銀…
02深度分析
要約
根抵当権の設定範囲、極度額の変更可否、利息の優先弁済範囲、そして個別債権譲渡の効果について問う問題。普通抵当権との違いを正確に理解しているかが鍵となる。
法的根拠
民法398条の2(被担保債権の範囲)民法398条の4(極度額の変更)民法398条の7(根抵当権の处分)民法374条(利息等の優先弁済の範囲)
論理の流れ
選択肢1は債権の範囲を定める必要があるため誤り。2は利害関係人の承諾があれば極度額の増額は可能。3は利息の優先弁済範囲の制限は普通抵当権のみの規定。4は個別債権が譲渡されても根抵当権は譲受人に及ばないため正しい。
重要な区別
個別債権の譲渡と根抵当権自体の处分を区別すること。根抵当権は元本確定前において、特定の債権者のためだけに存在する権利である点。
各選択肢のポイント
- 根抵当権を設定するには、債権の範囲を必ず定めなければならず、「すべての債権」では不可。
- 後順位担保権者等の利害関係人の承諾があれば、極度額の増額変更は登記可能である。
- 利息等の優先弁済範囲の制限(最後の2年分)は普通抵当権の規定であり、根抵当権には適用されない。
- 個別債権が譲渡されるとその債権は根抵当権の担保から外れ、譲受人は優先弁済を主張できない。
03知識背景
テーマ概要
根抵当権は、将来生じる不特定な債権を担保するために、一定の範囲に属する債権を極度額の限度で担保する制度。継続的な取引関係にある当事者間で利用され、個別債権の消滅や移転があっても原則として根抵当権は消滅しない。
歴史的背景
商業取引の拡大に伴い、融資ごとに抵当権設定を行う手間と費用を省くため、昭和46年民法改正で創設された。企業金融の円滑化を目的としている。
関連法令
民法398条の2~398条の22不動産登記法119条民法369条(抵当権の総則)
体系的位置づけ
民法(担保物権)の中で最も難解な分野の一つ。抵当権の知識を前提に、その例外や特則として出題される。
前提知識
普通抵当権の性質(付従性、随伴性等)および、根抵当権においてこれらの性質が緩和されていることの理解が必要。
04記憶テクニック
語呂合わせ
根抵当は個別譲渡でサヨナラ、極度額は承諾で増額可、利息は全額OK。
ビジュアル描写
根抵当権という大きな傘の下に多くの債権(雨粒)がある。一つの債権が外に飛び出しても(譲渡)、傘は元の持ち主に残るイメージ。
重要公式
根抵当権の優先弁済額 = 極度額(元本+利息+損害金の合計)
関連連想
銀行の「カードローン」の枠組みをイメージすると、枠(極度額)と使い回し(不特定債権)が理解しやすい。
比較表
普通抵当権:特定債権担保、利息は最後2年分のみ優先。根抵当権:不特定債権担保、利息は全額極度額内で優先。
05試験テクニック
出題頻度
2-3年に1回
重要度
A:最重要。抵当権との比較は頻出。
出題パターン
- 元本確定前の個別債権譲渡の効果
- 極度額の変更と利害関係人の保護
- 被担保債権の範囲の特定性
解法・消去法
「すべての債権」「2年分の利息」といった、普通抵当権のルールを根抵当権に適用した誤った記述を素早く見つける。
時間戦略
抵当権と根抵当権の違いを問う問題は即答できるよう知識を固めておき、時間をかけすぎないこと。
06実務応用
実務シナリオ
企業が銀行から根抵当権付きで融資を受け、その後売掛金をファクタリング会社に譲渡した場合、ファクタリング会社は根抵当権を行使できず、銀行のみが担保権を行使できる。
実務への影響
金融機関の担保権を守り、企業の資金調達を安定させるための重要な法的枠組みとなっている。
ケーススタディ
デット・エクイティ・スワップ(DES)の際に、既存の根抵当権がどう処理されるかが実務上の争点となることがある。
業界関連性
不動産融資や企業金融において、根抵当権は不可欠な担保手段であり、実務家には必須の知識。
ニュース連動
不良債権処理や事業再生の現場において、根抵当権の被担保債権の確定手続きが話題になることがある。
次に読む
関連ページ
関連過去問
同じ論点で出題されたほかの問
論点「根抵当権」で出題された過去問。出題パターンの幅を確認できます。
さあ、はじめよう
この問を、アプリで記録する