平成4年(1992)本試験
問9不法行為による損害賠償債務は、特約がない限り損害発生と同時に履行遅滞となり、遅延損害金が発生する点。
不法行為過去問
この問題の全体像
不法行為に基づく損害賠償債務の遅滞の開始時期に関する判例法理と、相殺禁止規定の適用範囲、共同不法行為及び使用者責任の内容を問う問題。
不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 1不法行為の被害者は、損害賠償債権を自働債権として、加害者に対する金銭返還債務と相殺することができない。
- 2不法行為に基づく損害賠償債務は、被害者が催告をするまでもなく、その損害の発生のときから遅滞に陥る。
- 3売主及び買主がそれぞれ別の宅地建物取引業者に媒介を依頼し、両業者が共同して媒介を行った場合において、両業者の共同不法行為により買主が損害を受けたときは、買主は、買主が依頼した業者に損害賠償を請求することはできるが、売主が依頼した業者に損害賠償を請求することはできない。
- 4従業員Aが宅地建物取引業者Bの業務を遂行中に第三者Cに不法行為による損害を与えた場合、Bは、その損害を賠償しなければならないが、Aに対してその求償をすることはできない。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
不法行為による損害賠償債務は、特約がない限り損害発生と同時に履行遅滞となり、遅延損害金が発生する点。
この問題は、5 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
不法行為に基づく損害賠償債務の遅滞の開始時期に関する判例法理と、相殺禁止規定の適用範囲、共同不法行為及び使用者責任の内容を問う問題。
03
知識背景
不法行為法は、故意または過失によって他人の権利を侵害した者が損害賠償責任を負う制度。賠償範囲、遅滞、相殺、使用者責任などが含まれる。
04
覚え方
「不法行為の遅滞は、損害発生の瞬間から」
05
試験のコツ
遅滞の時期
・相殺の可否
・共同不法行為の責任範囲
06
実務での見え方
内見中に宅建業者が不注意で客に怪我をさせた場合、賠償金の利息は事故当日から発生する。
02深度分析
要約
不法行為に基づく損害賠償債務の遅滞の開始時期に関する判例法理と、相殺禁止規定の適用範囲、共同不法行為及び使用者責任の内容を問う問題。
法的根拠
民法412条2項民法509条民法715条民法719条最高裁昭和39年7月7日判決
論理の流れ
一般債務は催告が必要だが、不法行為は損害発生時に遅滞となる(判例)。相殺禁止は加害者側の制限であり、被害者からの相殺は可能。共同不法行為では各加害者に連帯責任。使用者は求償権を有する。
重要な区別
不法行為による損害賠償債務は、特約がない限り損害発生と同時に履行遅滞となり、遅延損害金が発生する点。
各選択肢のポイント
- 民法509条は加害者からの相殺を禁じるが、被害者からの相殺は認められるため誤り。
- 不法行為による損害賠償は、被害者が催告をしなくても損害発生時に遅滞となるため正しい。
- 共同不法行為では各加害者が連帯責任を負うため、依頼していない業者にも請求可能。
- 使用者は被害者に賠償した後、従業員に故意重過失があれば求償権を行使できる。
03知識背景
テーマ概要
不法行為法は、故意または過失によって他人の権利を侵害した者が損害賠償責任を負う制度。賠償範囲、遅滞、相殺、使用者責任などが含まれる。
歴史的背景
2004年改正で使用者の求償権が明文化されたが、それ以前も判例で信義則に基づき認められていた。
関連法令
民法709条(不法行為の成立)民法412条(履行遅滞)民法509条(不法行為による債務と相殺)民法715条(使用者の責任)民法719条(共同不法行為)
体系的位置づけ
民法の債権各論における重要な論点で、宅建取引士としての法的責任の基礎となる。
前提知識
債務不履行責任と不法行為責任の違い、履行遅滞の要件、相殺の要件を理解していること。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「不法行為の遅滞は、損害発生の瞬間から」
ビジュアル描写
事故が起きた瞬間にストップウォッチが作動し、利息カウンターが回り始めるイメージ。
重要公式
不法行為遅滞=損害発生時
関連連想
「悪いことをしたら、すぐに責任(利息)を取られる」と覚える。
比較表
一般債務(催告必要)vs 不法行為(損害発生時から)
05試験テクニック
出題頻度
2-3年に1回
重要度
A:最重要。一般原則の例外として頻出
出題パターン
- 遅滞の時期
- 相殺の可否
- 共同不法行為の責任範囲
解法・消去法
「~できない」という否定形は条文を正確に知らないと引っかかりやすい。
時間戦略
「不法行為」と「遅滞」のキーワードを見たら即座に「損害発生時」と判断する。
06実務応用
実務シナリオ
内見中に宅建業者が不注意で客に怪我をさせた場合、賠償金の利息は事故当日から発生する。
実務への影響
示談交渉において、いつから利息がつくかが争点となることがある。
ケーススタディ
車上での案内中に接触事故を起こし、客が負傷した事例。
業界関連性
業務中の事故対応において、賠償額の算定基礎となる。
ニュース連動
業務上の過失による事故報道などで関連性が高い。
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