宅建コーチ権利関係平成5年11
平成5年(1993)本試験

11正当事由の「補完」と「代替」の区別。金銭の提供は正当事由を補完する要素に過ぎず、正当事由そのものを金銭だけで代替することはできない。

権利関係借地借家法(借地)過去問

この問題の全体像

この問題は、借地借家法における借地権の存続期間、更新拒絶の正当事由、地代増減請求権に関する特約の効力を問うものであり、借地人保護の原則を理解しているかが鍵となる。

平成5年11権利関係
AがBのために新たに借地権を設定した場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
  • 1借地権の存続期間は、契約で25年と定めようと、35年と定めようと、いずれの場合も30年となる。
  • 2「期間満了の際、AがBに対し相当の一定額の交付さえ行えば、Aは更新を拒絶できる」と特約してもその特約は、無効である。
  • 3「地代の増減は、A・Bの協議によって定める」と約定した場合、Aは、協議を尽くさなければ、地代の増減を請求することはできない。
  • 4「借地権の設定から30年経過後に、AがBの建物を時価で買い取り、契約は更新しない」と特約しても、その特約は、無効である。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
正当事由の「補完」と「代替」の区別。金銭の提供は正当事由を補完する要素に過ぎず、正当事由そのものを金銭だけで代替することはできない。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
この問題は、借地借家法における借地権の存続期間、更新拒絶の正当事由、地代増減請求権に関する特約の効力を問うものであり、借地人保護の原…
03
知識背景
借地借家法は、土地や建物の賃貸借において、借地人・借家人を保護し、その利用の安定を図るための法律です。特に借地権では、地主側の契約更…
04
覚え方
「正当事由は絶対、金銭はあくまで補助」。更新拒絶には正当事由が必須で、お金だけで解決できないことを覚える。
05
試験のコツ
金銭給付による正当事由の代替 ・契約期間の定めと法定期間の関係 ・地代増減の特約と裁判所への請求権
06
実務での見え方
地主が建物の建て替えを希望し、借地人に立ち退きを求める際、多額の立退料を提示しても、借地人がそこで長年事業を営んでいる場合、正当事由…
07
よくある間違い
{"mistake":"金銭を支払えば正当事由が代わり、更新拒絶ができると勘違いする。","why_wrong":"立退料の重要性を…
02深度分析
要約
この問題は、借地借家法における借地権の存続期間、更新拒絶の正当事由、地代増減請求権に関する特約の効力を問うものであり、借地人保護の原則を理解しているかが鍵となる。
法的根拠
借地借家法第3条(借地権の存続期間)借地借家法第4条(借地権の更新)借地借家法第9条(強行規定)借地借家法第11条(地代等の増減)
論理の流れ
選択肢1は、契約で30年を超える期間を定めた場合、その期間が有効となるため誤り。選択肢2は、更新拒絶には正当事由が必要であり、金銭の支払いのみで正当事由を代替する特約は無効となるため正解。選択肢3は、地代増減に関する協議が調わない場合、当事者は裁判所に増減額の請求ができるため誤り。選択肢4は、建物買取請求権等を行使させずに更新を拒絶する特約は無効であるため誤り。
重要な区別
正当事由の「補完」と「代替」の区別。金銭の提供は正当事由を補完する要素に過ぎず、正当事由そのものを金銭だけで代替することはできない。
各選択肢のポイント
  • 契約で30年を超える期間を定めた場合、その定めは有効であり、30年に短縮されないから。
  • 正当事由は金銭の支払いだけでは代替できず、このような特約は借地人に不利で無効だから。
  • 協議が調わないときは、当事者の一方は裁判所に対して地代の増減額請求ができるから。
  • 建物を時価で買い取るとしても、正当事由の判断は個別具体的になされ、特約で無効とされるから。
03知識背景
テーマ概要
借地借家法は、土地や建物の賃貸借において、借地人・借家人を保護し、その利用の安定を図るための法律です。特に借地権では、地主側の契約更新拒絶や解約に厳しい要件(正当事由)を課しています。
歴史的背景
1992年の借地借家法改正(旧法からの全面改正)により、借地権の存続期間が統一され、定期借地権など新たな制度が創設されましたが、この問題は改正後の基本的な原則を問うものです。
関連法令
借地借家法民法第601条(賃貸借)民法第604条(賃貸借の存続期間)
体系的位置づけ
宅建試験の「権利関係」分野における借地借家法の核心部分であり、毎年のように出題される最重要論点の一つです。
前提知識
借地権の最低存続期間(30年)、更新制度の仕組み、正当事由の判断基準(土地の必要性、借地人の従来の利用状況等)、地代増減請求権の内容を理解している必要があります。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「正当事由は絶対、金銭はあくまで補助」。更新拒絶には正当事由が必須で、お金だけで解決できないことを覚える。
ビジュアル描写
「正当事由」という重い岩を動かすために「金銭」というテコを使っているイメージ。テコ(金銭)だけでは岩(正当事由)を動かせない。
重要公式
存続期間=最低30年、更新拒絶=正当事由、地代増減=裁判所請求可。
関連連想
借地人は弱い立場なので、法律が強く保護しているとイメージし、「地主に有利な特約は無効」と即断する。
比較表
期間:30年未満は30年に伸びる、30年以上はそのまま。更新:正当事由が必要。地代:協議ダメなら裁判所へ。
05試験テクニック
出題頻度
毎年出題。正当事由と特約の効力は頻出論点です。
重要度
A:最重要。借地借家法の根幹をなすため、確実に正解が必要。
出題パターン
  • 金銭給付による正当事由の代替
  • 契約期間の定めと法定期間の関係
  • 地代増減の特約と裁判所への請求権
解法・消去法
「金銭で解決」「特約で自由」という地主に有利な記述がある選択肢は、借地人保護の観点から怪しいと疑う。
時間戦略
知識問題なので、迷わず即答できるようにしておく。30秒以内で解答を目指す。
06実務応用
実務シナリオ
地主が建物の建て替えを希望し、借地人に立ち退きを求める際、多額の立退料を提示しても、借地人がそこで長年事業を営んでいる場合、正当事由が認められず立ち退きができないケースがある。
実務への影響
不動産取引において、借地権が付いている物件の価格評価や、将来の更地化の難易度に直接影響を与える。
ケーススタディ
店舗を営む借地人に対し、地主が建物時価での買い取りを提示して退去を求めたが、借地人がその場所での営業必要性を主張し、裁判所が正当事由を認めなかった事例。
業界関連性
不動産仲介業者や地主にとって、借地契約書の作成や更新交渉において必須の知識。
ニュース連動
都市再開発事業において、権利者(借地人)との交渉が難航するニュースなどで、正当事由の問題が背景にあることが多い。
07よくある間違い
金銭を支払えば正当事由が代わり、更新拒絶ができると勘違いする。
なぜ間違えるか:立退料の重要性を過大評価し、正当事由が「借地人の土地使用の必要性」等を総合的に判断するものだと理解していないため。
借地権の存続期間はどんな契約でも30年で固定だと考える。
なぜ間違えるか:借地借家法が「30年未満の契約は30年とする」と規定している点を、「30年を超える契約も30年になる」と誤読しているため。
「地代の増減は協議による」という特約があると、裁判所に請求できないと思う。
なぜ間違えるか:私的自治(当事者の合意)を優先し、借地借家法11条の裁判所への請求権を奪う特約が有効だと誤解しているため。
解説は、まだ続きます
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