平成22年(2010)本試験
問31
営業保証金過去問
この問題の全体像
営業保証金の還付手続きにおける公告の要否を問う問題。特に免許の有効期間満了時の取り扱いと、公告不要となる例外ケース(保証協会加入、10年経過後)の正確な理解が問われる。
宅地建物取引業者の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。なお、この問において、「還付請求権者」とは、同法第27条第1項の規定に基づき、営業保証金の還付を請求する権利を有する者をいう。
- 1宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に関し不正な行為をし、情状が特に重いとして免許を取り消されたときであっても、営業保証金を取り戻すことができる場合がある。
- 2宅地建物取引業者は、免許の有効期間満了に伴い営業保証金を取り戻す場合は、還付請求権者に対する公告をすることなく、営業保証金を取り戻すことができる。
- 3宅地建物取引業者は、一部の支店を廃止したことにより、営業保証金の額が政令で定める額を超えた場合は、還付請求権者に対し所定の期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかったときに、その超過額を取り戻すことができる。
- 4宅地建物取引業者は、宅地建物取引業保証協会の社員となった後において、社員となる前に供託していた営業保証金を取り戻す場合は、還付請求権者に対する公告をすることなく、営業保証金を取り戻すことができる。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
営業保証金の還付手続きにおける公告の要否を問う問題。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
営業保証金の還付手続きにおける公告の要否を問う問題。特に免許の有効期間満了時の取り扱いと、公告不要となる例外ケース(保証協会加入、1…
03
知識背景
営業保証金制度は、宅建業者が取引相手に損害を与えた場合に備え、供託所に金銭等を供託させる消費者保護制度である。業者が廃業等する際の資…
04
覚え方
「公告なしは、協会(加入)と十年(取消後)のみ」。その他は全部公告が必要。
05
試験のコツ
公告の要否(有効期間満了がよく引っかけられる)
・還付請求権者への公告期間(6ヶ月)
・保証協会加入時の取り戻し手続き
06
実務での見え方
宅建業者が事業縮小で支店を閉鎖する際、余剰となった営業保証金を資金として回収したい。この際、法務局への公告手続きを忘れると、資金化が…
07
よくある間違い
{"mistake":"免許の有効期間満了を「廃業」と区別せず、公告不要と誤解する。","why_wrong":"期間満了は自動的に…
02深度分析
要約
営業保証金の還付手続きにおける公告の要否を問う問題。特に免許の有効期間満了時の取り扱いと、公告不要となる例外ケース(保証協会加入、10年経過後)の正確な理解が問われる。
法的根拠
宅地建物取引業法第30条第1項(営業保証金の取り戻し)宅地建物取引業法第27条第1項(還付請求権者に対する公告)宅地建物取引業法第28条第1項(保証協会の社員となった場合の営業保証金の取り戻し)
論理の流れ
営業保証金の取り戻しは原則として公告が必要である。例外は「保証協会加入時」と「免許取消後10年経過時」のみ。選択肢2は「免許の有効期間満了」を理由に公告なしでの取り戻しを述べているが、期間満了は失効(取消と同様の扱い)であり公告が必要であるため誤り。他の選択肢はいずれも法に基づく正しい記述である。
重要な区別
公告が必要な「廃業等(支店廃止、免許取消・失効)」と、公告が不要な「保証協会加入」の区別。
各選択肢のポイント
- 免許取消後10年を経過すれば、公告なしで取り戻せる(業法30条1項3号)。
- 有効期間満了による免許失効は公告が必要であり、公告なしでは取り戻せない。
- 支店廃止により超過額が生じた場合、公告を行い申出がなければ取り戻せる。
- 保証協会加入時は、公告なしで直ちに供託金を取り戻すことができる(業法28条)。
03知識背景
テーマ概要
営業保証金制度は、宅建業者が取引相手に損害を与えた場合に備え、供託所に金銭等を供託させる消費者保護制度である。業者が廃業等する際の資金回収(取り戻し)手続きは、未払いの被害者がいないか確認するため厳格に規定されている。
歴史的背景
宅建業法制定時より導入された核心的制度。消費者被害の救済を迅速に行うため、供託と還付のプロセスが法定化されている。保証協会制度との併存も特徴。
関連法令
宅地建物取引業法第25条(営業保証金の供託)民法第494条(供託)供託法(供託手続きの詳細)
体系的位置づけ
「宅建業法」の「監督」および「消費者保護」の分野に位置づけられ、業者の財産的責任の履行を担保する最重要項目。
前提知識
営業保証金の供託額(主たる事務所1000万円、従たる事務所1つにつき500万円)、還付請求権者の範囲、および保証協会制度(弁済業務保証金分担金)との違いを理解している必要がある。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「公告なしは、協会(加入)と十年(取消後)のみ」。その他は全部公告が必要。
ビジュアル描写
廃業時に「お知らせ(公告)」を貼って6ヶ月待つイメージ。ただし「保証協会」という新しいセーフティネットに入る時と、時効(10年)が成立した時は、待たずにドアから出てOK。
重要公式
取り戻し=公告(6ヶ月)+申出なし。例外=協会加入、取消後10年。
関連連想
免許の「有効期間満了」=「自然淘汰(失効)」=「廃業と同じ」と連想し、公告が必要と覚える。
比較表
【公告あり】廃業、支店廃止、免許取消、期間満了 【公告なし】保証協会加入、取消後10年経過
05試験テクニック
出題頻度
毎年出題
重要度
A:最重要。頻出かつ紛らわしい論点であるため。
出題パターン
- 公告の要否(有効期間満了がよく引っかけられる)
- 還付請求権者への公告期間(6ヶ月)
- 保証協会加入時の取り戻し手続き
解法・消去法
「公告なし」という記述を見たら、それが「保証協会加入」か「10年経過」か確認。違えば即座に誤りと判断できる。
時間戦略
例外(協会加入、10年)を即座に判断し、それ以外は「公告あり」として処理すると時間短縮できる。
06実務応用
実務シナリオ
宅建業者が事業縮小で支店を閉鎖する際、余剰となった営業保証金を資金として回収したい。この際、法務局への公告手続きを忘れると、資金化が遅れ経営に支障が出る。
実務への影響
業者側にとっては資金繰りに関わる実務であり、手続きミスは資金の拘束長期化を招く。消費者側にとっては権利行使の機会を保証するもの。
ケーススタディ
ある業者が免許更新を忘れ期間満了となった。その後、供託金を公告なしで引き出そうとしたが、法務局から却下され、手続きのやり直しを余儀なくされた事例。
業界関連性
不動産業界の退出戦略やM&Aにおけるデューデリジェンスで重要な確認事項。
ニュース連動
悪質業者の逃亡による被害者救済において、営業保証金還付が最後の砦となるニュースが関連する。
07よくある間違い
免許の有効期間満了を「廃業」と区別せず、公告不要と誤解する。
なぜ間違えるか:期間満了は自動的に免許効力を失うが、法的には「取消」等と同様に債権者保護の手続きが必要だから。
正しい理解:期間満了=「死(廃業)」と捉え、葬式(公告)が必要とイメージする。
支店を廃止した際、超過額全てを即座に取り戻せると考える。
なぜ間違えるか:還付請求権者がいる可能性があるため、必ず6ヶ月の公告期間を設ける必要がある。
正しい理解:「廃止」の文字を見たら「6ヶ月待て」と条件反射で覚える。
保証協会加入時も公告が必要だと勘違いする。
なぜ間違えるか:保証協会が責任を引き継ぐため、二重の担保(供託金と協会)となり不合理だから。
正しい理解:「協会に入ればバトンタッチ完了」と覚え、手続き簡素化(公告なし)と理解する。
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