平成29年(2017)本試験
問14
権利関係不動産登記法過去問
この問題の全体像
この問題は、不動産登記法における登記事項の範囲について問うものです。建物の名称、地上権の存続期間、賃借権の敷金、事業用定期借地権の特約が登記できるか否かを判別する知識が求められます。
不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 1建物の名称があるときは、その名称も当該建物の表示に関する登記の登記事項となる。
- 2地上権の設定の登記をする場合において、地上権の存続期間の定めがあるときは、その定めも登記事項となる。
- 3賃借権の設定の登記をする場合において、敷金があるときであっても、その旨は登記事項とならない。
- 4事業用定期借地権として借地借家法第23条第1項の定めのある賃借権の設定の登記をする場合、その定めも登記事項となる。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
この問題は、不動産登記法における登記事項の範囲について問うものです。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
この問題は、不動産登記法における登記事項の範囲について問うものです。建物の名称、地上権の存続期間、賃借権の敷金、事業用定期借地権の特…
03
知識背景
不動産登記法では、権利の変動を公示するために登記簿に記載すべき事項(登記事項)が法定されています。登記事項は表示に関するものと権利に…
04
覚え方
「敷金(しききん)は敷(しく)かれたまま、登記には出てこない」。敷金は登記事項ではないことを強調します。
05
試験のコツ
「~は登記事項となる」という肯定形と、「~は登記事項とならない」という否定形の組み合わせ。
・金銭に関わる事項(賃料・敷金等)の登記…
06
実務での見え方
賃貸借契約において、オーナー変更があった際、新しいオーナーに対して敷金返還債務を主張するためには、賃借権の登記が必要ですが、敷金の額…
07
よくある間違い
{"mistake":"賃料が登記事項であることから、関連する金銭として敷金も登記事項だと誤解する。","why_wrong":"賃…
02深度分析
要約
この問題は、不動産登記法における登記事項の範囲について問うものです。建物の名称、地上権の存続期間、賃借権の敷金、事業用定期借地権の特約が登記できるか否かを判別する知識が求められます。
法的根拠
不動産登記法第44条不動産登記法第78条不動産登記法第81条借地借家法第23条
論理の流れ
まず、各選択肢の事項が登記事項に含まれるか条文で確認します。建物名称は第44条、地上権期間は第78条、事業用定期借地権の定めは第81条で規定され、いずれも登記事項です。一方、敷金は第81条の登記事項に含まれません。したがって、敷金に関する記述が誤りとなります。
重要な区別
賃借権の登記事項(賃料等)と、登記事項ではないもの(敷金等)を明確に区別すること。
各選択肢のポイント
- 建物の名称は不動産登記法44条1項4号により登記事項とされているため正しい。
- 地上権の存続期間は不動産登記法78条1項5号により登記事項とされているため正しい。
- 敷金は不動産登記法81条の登記事項に含まれておらず、登記できないため誤りである。
- 事業用定期借地権の定めは不動産登記法81条1項7号により登記事項とされているため正しい。
03知識背景
テーマ概要
不動産登記法では、権利の変動を公示するために登記簿に記載すべき事項(登記事項)が法定されています。登記事項は表示に関するものと権利に関するものに大別され、権利に関する事項はさらに各権利ごとに詳細に定められています。
歴史的背景
不動産登記法は2004年(平成16年)に大幅な改正が行われ、登記情報の電子化や手続きの簡素化が図られました。登記事項についても、時代の要請に合わせて見直しが行われています。
関連法令
民法借地借家法不動産登記法不動産登記令不動産登記規則
体系的位置づけ
権利関係分野における「不動産登記法」の基礎的な論点であり、登記の効力や対抗要件と並んで重要な位置を占めます。
前提知識
不動産登記簿の構造(表題部、権利部甲区、権利部乙区)や、登記が第三者に対する対抗要件となるという民法の原則を理解している必要があります。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「敷金(しききん)は敷(しく)かれたまま、登記には出てこない」。敷金は登記事項ではないことを強調します。
ビジュアル描写
登記簿の「権利部」に書けるのは「権利の内容」そのもの。敷金は「金銭債権」の担保であり、賃借権の内容そのものではないので、登記簿の外側にあるイメージ。
重要公式
賃借権登記事項=賃料・期間・目的等(敷金は除く)。
関連連想
敷金を返してもらう権利は債権。登記は物権の変動がメイン。債権の詳細(敷金)は登記しないと連想。
比較表
地上権:存続期間は登記事項。賃借権:賃料・期間は登記事項だが、敷金は登記事項ではない。
05試験テクニック
出題頻度
2-3年に1回程度。登記事項の具体的な列挙は頻出です。
重要度
B:重要。条文の知識を直接問われるため、正確な暗記が必要。
出題パターン
- 「~は登記事項となる」という肯定形と、「~は登記事項とならない」という否定形の組み合わせ。
- 金銭に関わる事項(賃料・敷金等)の登記可否の判別。
解法・消去法
建物名称や存続期間など、明らかに重要な事項が登記事項であることは常識的に判断しやすい。それ以外の「金銭」に関わるもの(敷金等)は怪しいと疑う。
時間戦略
条文番号を覚えていれば即答可能。迷ったら「登記すべき必要性が高いか(第三者が知る必要があるか)」で判断。
06実務応用
実務シナリオ
賃貸借契約において、オーナー変更があった際、新しいオーナーに対して敷金返還債務を主張するためには、賃借権の登記が必要ですが、敷金の額までは登記できないため、別途証明書等で対応します。
実務への影響
敷金が登記できないため、賃借権が登記されていても、登記簿を見ただけでは敷金の有無や額は分からず、実務上は賃貸借契約書の確認が必須となります。
ケーススタディ
事業用定期借地権を設定する際、その特約が登記されるため、登記簿を見れば通常の賃借権と区別がつき、第三者もその権利内容を認識できます。
業界関連性
不動産取引において、登記簿の読み取りは基本スキル。登記事項の範囲を知ることは、リスク管理上不可欠。
ニュース連動
敷金トラブルはニュースでもよく取り上げられるが、登記による公示機能の限界を示す事例とも言える。
07よくある間違い
賃料が登記事項であることから、関連する金銭として敷金も登記事項だと誤解する。
なぜ間違えるか:賃料は賃借権の対価として本質的な要素だが、敷金は債務担保のために留置される金銭に過ぎないため。
正しい理解:「賃料=対価(本体)」、「敷金=担保(付随)」と整理し、本体だけが登記されると覚える。
建物の名称は任意であるため、登記事項ではないと考えてしまう。
なぜ間違えるか:名称は任意だが、ある場合は登記することで不動産の特定を明確にするため、登記事項とされている。
正しい理解:「必須事項」と「任意的記載事項」の区別を意識する。
事業用定期借地権の定めは借地借家法の特約なので、登記不要と考える。
なぜ間違えるか:この定めがないと通常の賃借権と区別がつかず、第三者に不測の損害を与える可能性があるため登記が必要。
正しい理解:定期借地権などの「特殊な権利」の成立要件は登記事項になると覚える。
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