宅建コーチ権利関係令和2年212
令和2年(2020)本試験

212

権利関係借地借家法(借家)過去問

この問題の全体像

本問は定期建物賃貸借契約における貸主の解約権の制限を中心に、賃料前払いの対抗力、賃料増額請求、造作買取請求の適否を問う問題である。定期借家では貸主からの解約は原則認められない点が最大の論点。

令和2年212権利関係
AとBとの間でA所有の甲建物をBに対して、居住の用を目的として、期間2年、賃料月額10万円で賃貸する旨の賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結し、Bが甲建物の引渡しを受けた場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
  • 1AがCに甲建物を売却した場合、Bは、それまでに契約期間中の賃料全額をAに前払いしていたことを、Cに対抗することができる。
  • 2本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、賃料改定に関する特約がない場合、経済事情の変動により賃料が不相当となったときは、AはBに対し、賃料増額請求をすることができる。
  • 3本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約である場合、Aは、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情があれば、Bに対し、解約を申し入れ、申入れの日から1月を経過することによって、本件契約を終了させることができる。
  • 4本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、造作買取請求に関する特約がない場合、期間満了で本件契約が終了するときに、Bは、Aの同意を得て甲建物に付加した造作について買取請求をすることができる。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
本問は定期建物賃貸借契約における貸主の解約権の制限を中心に、賃料前払いの対抗力、賃料増額請求、造作買取請求の適否を問う問題である。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
本問は定期建物賃貸借契約における貸主の解約権の制限を中心に、賃料前払いの対抗力、賃料増額請求、造作買取請求の適否を問う問題である。定…
03
知識背景
定期建物賃貸借は、借地借家法38条に規定され、期間満了で確定的に終了する賃貸借。普通建物賃貸借と異なり、更新の申し込みや正当事由によ…
04
覚え方
定期借家は「ていき(定期)」で「き(期間)」が決まる。貸主の解約は「て(手)」が出せない。覚え方:「定期は貸主解約なし、期間満了でサ…
05
試験のコツ
定期借家vs普通借家の比較問題 ・定期借家の解約・更新の可否 ・造作買取請求の適用有無 ・賃料増減額請求の可否
06
実務での見え方
不動産仲介実務で、貸主が「3年後に自分が住むから」という理由で定期借家を希望する場合、期間満了で確実に收回できることを説明。一方、貸…
07
よくある間違い
{"mistake":"定期借家でも正当事由があれば貸主から解約できると誤解する。","why_wrong":"普通建物賃貸借の解約…
02深度分析
要約
本問は定期建物賃貸借契約における貸主の解約権の制限を中心に、賃料前払いの対抗力、賃料増額請求、造作買取請求の適否を問う問題である。定期借家では貸主からの解約は原則認められない点が最大の論点。
法的根拠
借地借家法第38条借地借家法第39条民法第611条民法第613条民法第32条
論理の流れ
まず本件契約が居住用の2年契約であることを確認。次に定期建物賃貸借(38条)の特徴を理解する。38条の定期借家では期間満了で当然終了し、貸主からの解約は認められない。選択肢3で「やむを得ない事情」による解約を認めている点が法律と矛盾すると判断できる。他の選択肢は判例・条文に照らして正しい。
重要な区別
定期建物賃貸借と普通建物賃貸借の最大の違いは、貸主からの解約権の有無。定期借家では貸主都合の解約は原則不可であり、正当事由による解約も認められない点が決定的。
各選択肢のポイント
  • 賃料前払いは対抗力のある賃借人が新所有者に対抗可能(判例)。期間中の前払いは保護される。
  • 定期借家でも賃料改定特約がない限り、民法32条の賃料増減額請求が適用される。経済事情の変動は増額事由。
  • 定期建物賃貸借では貸主からの解約申入れは認められない。期間満了で当然終了する制度であり、正当事由による解約規定はない。
  • 定期借家でも造作買取請求権(借地借家法39条)は適用される。特約で排除可能だが、特約がない場合は請求可能。
03知識背景
テーマ概要
定期建物賃貸借は、借地借家法38条に規定され、期間満了で確定的に終了する賃貸借。普通建物賃貸借と異なり、更新の申し込みや正当事由による解約が不要。居住用・事業用問わず適用され、賃貸人にとって期間管理がしやすい制度。
歴史的背景
1992年借地借家法制定時に新設。従来の建物賃貸借は強い賃借人保護により、貸主が期間満了でも收回困難な状況が問題視された。定期借家は期間の確定性を重視し、賃貸人と賃借人の意思を尊重する制度として創設。
関連法令
借地借家法第38条(定期建物賃貸借)借地借家法第39条(造作買取請求)民法第32条(賃料増減額請求)民法第613条(賃借権の譲渡・転貸)
体系的位置づけ
宅建試験の民法科目における借地借家法分野の核心論点。毎年近接する論点から出題され、定期借家の特色を理解しているかが問われる重要事項。
前提知識
建物賃貸借の基礎、普通建物賃貸借の更新・解約の仕組み、正当事由制度、対抗力の概念、造作買取請求権の内容。これらとの対比で定期借家の特殊性を理解する必要がある。
04記憶テクニック
語呂合わせ
定期借家は「ていき(定期)」で「き(期間)」が決まる。貸主の解約は「て(手)」が出せない。覚え方:「定期は貸主解約なし、期間満了でサヨナラ」
ビジュアル描写
定期借家を「一方通行の道」とイメージ。入口(契約開始)から出口(期間満了)まで一直線。途中で貸主からのUターン(解約)は不可。賃借人からの退出のみ可能。
重要公式
定期借家=期間確定+貸主解約不可+造作買取請求あり+賃料増減額請求あり
関連連想
定期券をイメージ。有効期限が決まっていて、途中で返却(解約)はできない。期限が来たら自動的に終了。
比較表
定期借家:期間満了で終了、貸主解約不可、更新なし。普通借家:期間満了後更新可能、正当事由で解約、賃借人保護強し。
05試験テクニック
出題頻度
定期建物賃貸借は頻出論点。2年に1回程度の頻度で単独または複合問題として出題される。
重要度
A:最重要。借地借家法の核心制度であり、実務でも多用される。正確な理解が不可欠。
出題パターン
  • 定期借家vs普通借家の比較問題
  • 定期借家の解約・更新の可否
  • 造作買取請求の適用有無
  • 賃料増減額請求の可否
解法・消去法
「貸主からの解約」「正当事由」「更新」のキーワードが出たら定期借家では原則不可と疑う。逆に「賃料増額」「造作買取」は可能と判断。
時間戦略
定期借家の特色(解約不可、期間確定)を即座に想起し、選択肢を素早く判断。迷う場合は条文の文言を思い出す。1問2分以内を目標。
06実務応用
実務シナリオ
不動産仲介実務で、貸主が「3年後に自分が住むから」という理由で定期借家を希望する場合、期間満了で確実に收回できることを説明。一方、貸主都合での途中解約は不可能な点も併せて説明が必要。
実務への影響
定期借家契約書作成時、重要事項説明で期間満了で確定的に終了することを説明する義務がある。賃借人の誤解を防ぐため、更新がない点を明確にする実務対応が求められる。
ケーススタディ
貸主Aが転勤になり、定期借家中の建物を收回したいと希望したが、契約上不可能。賃借人Bの合意による解約交渉を行うか、期間満了まで待つしかない。実務では賃借人との協議が重要。
業界関連性
不動産管理会社では定期借家契約の案件が増加。期間管理の確実性から貸主に人気。ただし賃借人への説明不足によるトラブルも多く、適切な説明が不可欠。
ニュース連動
近年、外国人労働者向け住宅や単身者向け住宅で定期借家の利用が増加。期間の確定性が貸主・賃借人双方にとってメリットとなる事例が注目されている。
07よくある間違い
定期借家でも正当事由があれば貸主から解約できると誤解する。
なぜ間違えるか:普通建物賃貸借の解約規定(借地借家法28条)と混同している。定期借家には正当事由による解約制度自体がない。
定期借家では造作買取請求も賃料増額請求も認められないと誤解する。
なぜ間違えるか:定期借家の「特約で排除可能」という性質を「当然に排除される」と誤解している。特約がない限りこれらの権利は適用される。
賃料前払いの対抗力について、新所有者には対抗できないと誤解する。
なぜ間違えるか:賃料前払いが新所有者に対抗できないと考えると、賃借人の保護が不十分になると誤認している。
解説は、まだ続きます
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