宅建コーチ権利関係令和7年12
令和7年(2025)本試験

12

権利関係借地借家法(借家)過去問

この問題の全体像

本問は建物賃貸借契約における解約・更新・造作買取請求権・取壊し予定建物の4つの論点を総合的に問う問題である。借地借家法の強行法規としての性質と、当事者間の特約の有効性の境界線を理解することが求められている。

令和7年12権利関係
Aを賃貸人、Bを賃借人とする甲建物の賃貸借契約(定期建物賃貸借契約及び一時使用目的の建物の賃貸借契約を除く。以下この問において「本件契約」という。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。
  • 1本件契約が期間の定めがないものである場合において、A又はBから相手方に対して解約の申入れをしたときは、当該申入れの日から6か月を経過することによって、本件契約は終了する。
  • 2本件契約が期間を2年とするものである場合において、A及びBのいずれも期間の満了の1年前から6か月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知をしなかったときは、本件契約は、期間を2年として、従前の契約と同一の条件で更新されたものとみなされる。
  • 3AB間において、造作買取請求権は行使しない旨の特約があった場合、この特約は有効である。
  • 4本件契約が借地借家法第39条に規定する取壊し予定の建物の賃貸借であり、甲建物を取り壊すこととなる時に本件契約が終了する旨の特約を定める場合、本件契約は、公正証書によってしなければならない。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
本問は建物賃貸借契約における解約・更新・造作買取請求権・取壊し予定建物の4つの論点を総合的に問う問題である。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
本問は建物賃貸借契約における解約・更新・造作買取請求権・取壊し予定建物の4つの論点を総合的に問う問題である。借地借家法の強行法規とし…
03
知識背景
建物賃貸借契約は、借地借家法により賃借人保護の観点から強い規制がなされている。更新の自動化、解約の制限、造作買取請求権などが主要な保…
04
覚え方
「造作は買ってもらえる権利、でも最初に諦めるならそれでOK」と覚える。権利は保護されるが、事前の放棄も自由という二面性をイメージ。
05
試験のコツ
更新後の期間を問う問題(期間の定めなしとする) ・解約申入れの要件を問う問題(正当事由の要否) ・特約の有効性を問う問題(強行法規違…
06
実務での見え方
不動産仲介実務において、賃貸借契約更新時の造作買取請求権の特約条項は重要である。賃貸人が造作の買取を避けたい場合、契約時に特約を設け…
07
よくある間違い
{"mistake":"更新後の期間を従前と同じ期間と誤解する","why_wrong":"借地借家法26条1項の「期間の定めがない…
02深度分析
要約
本問は建物賃貸借契約における解約・更新・造作買取請求権・取壊し予定建物の4つの論点を総合的に問う問題である。借地借家法の強行法規としての性質と、当事者間の特約の有効性の境界線を理解することが求められている。
法的根拠
借地借家法第26条(建物賃貸借の更新)借地借家法第27条(解約の申入れ)借地借家法第33条(造作買取請求権)借地借家法第39条(取壊し予定建物)民法第617条(解約の申入れ)
論理の流れ
選択肢1は解約申入れの期間を問うが、借地借家法27条1項により解約申入れには正当事由が必要であり、単に6か月経過では終了しない。選択肢2は更新後の期間を問うが、借地借家法26条1項により更新時は期間の定めがないものとみなされる。選択肢3は造作買取請求権の特約排除の可否を問う。同権利は賃借人に有利な規定だが、放棄を妨げる趣旨ではないため特約は有効となる。選択肢4は取壊し予定建物の要件を問うが、借地借家法39条は書面を要求するのみで公正証書は不要である。
重要な区別
最も重要な区別は、借地借家法の規定が強行法規か否かの判断である。賃借人保護規定でも、権利放棄を認めるものと認めないものがある。造作買取請求権は放棄可能な権利である。
各選択肢のポイント
  • 借地借家法27条1項により、解約申入れには正当事由が必要であり、6か月経過だけでは契約は終了しない。
  • 借地借家法26条1項により、更新された契約は期間の定めがないものとみなされ、2年として更新されない。
  • 造作買取請求権は賃借人に有利な規定だが、権利放棄を認める趣旨ではないため、特約による排除は有効である。
  • 借地借家法39条は書面によることを要求するが、公正証書までは要求していない。通常の書面で足りる。
03知識背景
テーマ概要
建物賃貸借契約は、借地借家法により賃借人保護の観点から強い規制がなされている。更新の自動化、解約の制限、造作買取請求権などが主要な保護制度である。ただし、定期建物賃貸借や一時使用目的の建物賃貸借は例外的に適用除外とされる。
歴史的背景
借地借家法は1921年(大正10年)に制定され、賃借人の居住の安定を図る目的があった。その後、1992年(平成4年)に定期借地権等が導入され、2018年(平成30年)改正では正当事由の考慮要素が明文化された。
関連法令
借地借家法第26条から第39条民法第601条から第622条民法第617条
体系的位置づけ
宅建試験の民法科目において、借地借家法は最重要分野の一つである。建物賃貸借に関する規定は毎年のように出題され、特に更新・解約・造作買取は頻出論点である。
前提知識
本問を理解するには、建物賃貸借の更新制度(法定更新)、解約申入れに必要な正当事由、造作買取請求権の性質、取壊し予定建物の特則を理解しておく必要がある。また、強行法規と任意法規の区別も重要である。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「造作は買ってもらえる権利、でも最初に諦めるならそれでOK」と覚える。権利は保護されるが、事前の放棄も自由という二面性をイメージ。
ビジュアル描写
建物賃貸借の更新を「自動継続スイッチ」とイメージ。一度入居すれば、正当事由なしでは追い出せない強力な保護装置。ただし造作買取は「オプション部品」で、最初から不要なら外せる。
重要公式
建物賃貸借の更新=期間の定めなし(法定更新)。解約=正当事由+6か月前通知。造作買取特約排除=有効。取壊し予定建物=書面で足りる。
関連連想
「賃借人保護」でも、契約自由の原則が優先される場合がある。造作買取は金銭的権利なので、事前の放棄は賃借人の判断に委ねられると連想。
比較表
更新後の期間:土地賃貸借→借地権存続期間に従う/建物賃貸借→期間の定めなし。解約申入れ:土地→6か月前まで/建物→正当事由必要。造作買取:特約排除→有効/更新拒絶の特約→無効。
05試験テクニック
出題頻度
借地借家法の建物賃貸借に関する問題は毎年出題される。造作買取請求権は2〜3年に1回の頻度で出題される重要論点である。
重要度
A:最重要。建物賃貸借の更新・解約・造作買取は宅建試験の基礎知識として必須。実務でも頻繁に遭遇する問題である。
出題パターン
  • 更新後の期間を問う問題(期間の定めなしとする)
  • 解約申入れの要件を問う問題(正当事由の要否)
  • 特約の有効性を問う問題(強行法規違反の有無)
解法・消去法
選択肢1と2は期間や更新後の取扱いに関する知識で即座に誤りと判断できる。選択肢4は「公正証書」という過度な要件で誤りと推測可能。消去法で選択肢3にたどり着ける。
時間戦略
この問題タイプは標準的な知識問題なので、各選択肢の論点を確認し、1分半〜2分程度で解答を目指す。更新・解約の期間は暗記しておくと時間短縮になる。
06実務応用
実務シナリオ
不動産仲介実務において、賃貸借契約更新時の造作買取請求権の特約条項は重要である。賃貸人が造作の買取を避けたい場合、契約時に特約を設けることが実務的に行われる。この特約の有効性を理解しておくことは必須である。
実務への影響
造作買取請求権の特約排除を認めることで、賃貸人は退去時の費用負担を回避でき、賃借人は契約条件として事前に判断できる。取引の予測可能性が高まる。
ケーススタディ
テナントが内装工事として壁紙や照明を設置した場合、退去時に造作買取請求権が発生する可能性がある。しかし、契約書に「造作買取請求権は行使しない」との特約があれば、賃貸人は買取義務を負わない。この特約の有効性が実務上重要となる。
業界関連性
不動産賃貸業界では、造作買取請求権の特約排除は標準的な契約条項として定着している。賃貸管理業務において必須の知識である。
ニュース連動
近年、居住用賃貸住宅の適正な取引ルールが注目されており、賃借人保護と契約自由の原則のバランスが議論されている。造作買取請求権の特約もこの文脈で理解できる。
07よくある間違い
更新後の期間を従前と同じ期間と誤解する
なぜ間違えるか:借地借家法26条1項の「期間の定めがないものとみなす」という規定を正確に理解していない。
解約申入れに正当事由が必要ないと誤解する
なぜ間違えるか:民法617条の一般原則のみを記憶し、借地借家法27条の特則を忘れている。
造作買取請求権の特約排除を無効と判断する
なぜ間違えるか:借地借家法の規定をすべて強行法規と誤解し、賃借人保護規定は特約で排除できないと考えた。
解説は、まだ続きます
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