令和3年(2021)本試験
問212
権利関係借地借家法(借家)過去問
この問題の全体像
建物賃貸借契約における期間の定めがない場合の解約期間、建物譲渡時の敷金の承継、転貸借の終了期間、定期建物賃貸借の更新について問う問題。敷金の承継に関する判例法理が正解の核心である。
Aを賃貸人、Bを賃借人とする甲建物の賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結された場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
- 1本件契約について期間の定めをしなかった場合、AはBに対して、いつでも解約の申入れをすることができ、本件契約は、解約の申入れの日から3月を経過することによって終了する。
- 2甲建物がBに引き渡された後、甲建物の所有権がAからCに移転した場合、本件契約の敷金は、他に特段の合意がない限り、BのAに対する未払賃料債務に充当され、残額がCに承継される。
- 3甲建物が適法にBからDに転貸されている場合、AがDに対して本件契約が期間満了によって終了する旨の通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から3月を経過することによって終了する。
- 4本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約で、期間を5年、契約の更新がない旨を定めた場合、Aは、期間満了の1年前から6月前までの間に、Bに対し賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、従前の契約と同一条件で契約を更新したものとみなされる。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
建物賃貸借契約における期間の定めがない場合の解約期間、建物譲渡時の敷金の承継、転貸借の終了期間、定期建物賃貸借の更新について問う問題。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
建物賃貸借契約における期間の定めがない場合の解約期間、建物譲渡時の敷金の承継、転貸借の終了期間、定期建物賃貸借の更新について問う問題…
03
知識背景
建物賃貸借契約の終了、転貸借、敷金の承継、定期建物賃貸借など借地借家法の重要論点を総合的に扱う。建物賃貸借は土地賃貸借と異なり、居住…
04
覚え方
建物賃貸借の解約期間は「建物は6月、土地は3月」と覚える。転貸借も同様に6月。定期建物賃貸借は「定期は更新なし」で確定終了。
05
試験のコツ
解約期間の3月と6月の混同問題
・敷金の承継と相殺の問題
・定期建物賃貸借の更新・終了の問題
06
実務での見え方
不動産仲介実務で、建物売買時に賃借人がいる場合、敷金の承継について売主・買主・賃借人の三者間で合意が必要。未払賃料との相殺も確認する…
07
よくある間違い
{"mistake":"建物賃貸借の解約期間を「3月」と誤記憶する。","why_wrong":"民法617条の土地の解約期間と混同…
02深度分析
要約
建物賃貸借契約における期間の定めがない場合の解約期間、建物譲渡時の敷金の承継、転貸借の終了期間、定期建物賃貸借の更新について問う問題。敷金の承継に関する判例法理が正解の核心である。
法的根拠
借地借家法27条1項借地借家法34条借地借家法38条民法605条民法617条
論理の流れ
選択肢1は期間の定めがない場合の解約期間が問題。借地借家法27条1項により建物賃貸借の解約は6月経過が必要。選択肢2は敷金の承継について判例が確立しており正しい。選択肢3は転貸借の終了期間で借地借家法34条により6月経過が必要。選択肢4は定期建物賃貸借の性質を理解すれば誤りと判断できる。
重要な区別
建物賃貸借における解約・終了の期間は「3月」ではなく「6月」が原則。定期建物賃貸借は更新がなく期間満了で確定的に終了する点が通常の賃貸借と異なる。
各選択肢のポイント
- 借地借家法27条1項により、期間の定めがない建物賃貸借の解約は6月経過で終了する。3月は誤り。
- 判例により、建物譲渡時の敷金は未払賃料に充当された残額が新賃貸人に承継される。正しい記述。
- 借地借家法34条により、転貸借の終了は通知から6月経過が必要。3月は誤り。
- 定期建物賃貸借は更新がなく期間満了で確定的に終了する。通知をしなくても更新されることはない。
03知識背景
テーマ概要
建物賃貸借契約の終了、転貸借、敷金の承継、定期建物賃貸借など借地借家法の重要論点を総合的に扱う。建物賃貸借は土地賃貸借と異なり、居住保護の観点から解約期間が6月と長く設定されている。
歴史的背景
借地借家法は1992年に制定され、旧借地法・借家法を統合。定期建物賃貸借制度は新設され、期間満了による確定的終了を可能とした。敷金の承継については判例法理が確立している。
関連法令
借地借家法27条(期間の定めのない建物賃貸借の解約)借地借家法34条(転貸借の終了)借地借家法38条(定期建物賃貸借)民法617条(解約申入れ)
体系的位置づけ
宅建試験の民法科目において借地借家法は最重要分野の一つ。建物賃貸借に関する規定は毎年のように出題される頻出論点である。
前提知識
建物賃貸借と土地賃貸借の違い、解約期間の特則、敷金の法的性質、転貸の効力、定期建物賃貸借の要件と効果を理解している必要がある。
04記憶テクニック
語呂合わせ
建物賃貸借の解約期間は「建物は6月、土地は3月」と覚える。転貸借も同様に6月。定期建物賃貸借は「定期は更新なし」で確定終了。
ビジュアル描写
建物の解約・終了は「6月」という数字をイメージ。定期建物賃貸借は「更新なしの壁」で期間満了でストップ。敷金は「未払賃料を精算して残りを承継」の流れ。
重要公式
建物賃貸借の解約期間=6月、転貸借終了=6月、定期建物賃貸借=更新なし
関連連想
「建物」は「ろく(6)」と連想。建物の解約も転貸借も6月。定期は「てい」と「てい(停)」で更新停止。
比較表
期間の定めない解約:土地3月/建物6月。転貸借終了:通知から6月。定期建物賃貸借:更新なし、期間満了で終了。
05試験テクニック
出題頻度
借地借家法の建物賃貸借関連は毎年出題される頻出論点。敷金、転貸、定期建物賃貸借は特に重要。
重要度
A:最重要。建物賃貸借の規定は実務でも頻繁に活用され、試験でも必須知識。
出題パターン
- 解約期間の3月と6月の混同問題
- 敷金の承継と相殺の問題
- 定期建物賃貸借の更新・終了の問題
解法・消去法
期間の「3月」は建物賃貸借では誤りが多い。定期建物賃貸借で「更新」の記述があれば疑う。敷金の承継は判例通りか確認。
時間戦略
解約期間は「建物は6月」と即断。定期建物賃貸借は「更新なし」を確認。敷金は判例法理を想起して判断。
06実務応用
実務シナリオ
不動産仲介実務で、建物売買時に賃借人がいる場合、敷金の承継について売主・買主・賃借人の三者間で合意が必要。未払賃料との相殺も確認する。
実務への影響
敷金の承継を理解していないと、建物譲渡後のトラブルを招く。新賃貸人が未払賃料を知らずに敷金全額を返還請求されるリスクがある。
ケーススタディ
賃貸アパートのオーナー変更時、前オーナーに未払賃料があった場合、敷金から差し引かれた残額のみが新オーナーに承継される。賃借人は新オーナーに敷金返還を請求できる。
業界関連性
不動産業界では建物譲渡が頻繁に行われ、敷金の承継問題は実務上極めて重要。管理会社変更時にも同様の問題が生じる。
ニュース連動
賃貸住宅のオーナー変更や管理会社変更のニュースで、敷金トラブルが報じられることがある。判例知識が解決の鍵となる。
07よくある間違い
建物賃貸借の解約期間を「3月」と誤記憶する。
なぜ間違えるか:民法617条の土地の解約期間と混同している。建物は借地借家法27条で6月と特則がある。
正しい理解:「建物はろく(6)」と語呂合わせで記憶し、土地と区別する。
定期建物賃貸借でも更新が認められると誤解する。
なぜ間違えるか:通常の建物賃貸借と混同している。定期建物賃貸借は更新がない旨を定める契約である。
正しい理解:「定期=更新なし」と確実に覚える。38条の要件(公正証書等)と効果(確定終了)をセットで記憶。
敷金が全額そのまま新賃貸人に承継されると誤解する。
なぜ間違えるか:未払賃料との相殺を考慮していない。判例は残額の承継としている。
正しい理解:敷金の承継は「未払賃料充当→残額承継」の2段階で理解する。
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