契約の成立
契約の成立には、当事者間の意思表示の合致(申込みと承諾の一致)が必要です。民法555条は、契約が当事者間の申込みと承諾による合意によって成立することを定めています。ただし、成立した契約が直ちに拘束力を持つとは限らず、有効要件(当事者能力、意思能力、目的の適法性等)を満たす必要があります。また、消費者契約法等の特別法による規制も考慮が必要です。
民法555条(契約の意義・成立)民法526条(申込みの効力発生時期)民法527条(申込みの撤回)
重要度: 重要
要点
契約の成立には、当事者間の意思表示の合致(申込みと承諾の一致)が必要です。民法555条は、契約が当事者間の申込みと承諾による合意によって成立することを定めています。ただし、成立した契約が直ちに拘束力を持つとは限らず、有効要件(当事者能力、意思能力、目的の適法性等)を満たす必要があります。また、消費者契約法等の特別法による規制も考慮が必要です。
体系における位置づけ
民法(権利関係)は宅建試験の核心科目の一つで、私法の基本原理を学びます。契約法はその中でも中心的分野であり、取引の基本構造を理解する基盤となります。契約の成立は、申込みと承諾による意思表示の合致という基本原理から、契約の拘束力、有効要件へと展開する重要な基礎概念です。
ルールの詳細
・申込みは、相手方に到達した時に効力を生じます(民法526条1項)。到達主義が採用されており、相手方が現実に認識したかどうかは問いません。
・承諾は、申込みをした者に到達した時に契約が成立します。承諾の通知が遅延した場合でも、民法548条により一定の条件下で契約が成立することがあります。
・申込みは、相手方が承諾をするまでの間、撤回することができます(民法527条)。ただし、申込みに承諾期間を定めた場合は、その期間内は撤回できません。
・承諾期間を定めた申込みは、その期間内に承諾の通知を発しなければ、申込みは効力を失います(民法546条)。
・承諾期間を定めない申込みは、申込みが到達した後、相当期間内に承諾の通知を発しなければ、申込みは効力を失います(民法547条)。
例外
・隔地者間の契約では、承諾の通知を発した時に契約が成立するとする発信主義は採用されておらず、到達主義が原則です。
・申込みに承諾期間を定めた場合であっても、申込者がその撤回を認めた場合は、撤回が可能です。当事者の合意による修正は可能です。
・消費者契約法では、事業者の不当な勧誘により消費者が誤認した場合、消費者は契約を取り消すことができます(消費者契約法4条)。
比較・対照
契約の成立と有効を区別することが重要です。成立は意思表示の合致のみで判断されますが、有効は法律上の拘束力を持つための追加要件が必要です。試験ではこの区別を問う問題が頻出します。
記憶テクニック
・「申込み到達で効力発生、承諾到達で契約成立」→到達主義の一貫性として覚える
・「撤回は承諾まで、期間付きは期間内」→申込みの撤回ルール
・「成立は合致、有効は要件」→契約の成立と有効の区別
事例で確認
「契約の成立」はこう問われる
AはBに対し、甲土地を1000万円で売却する旨の申込みを内容証明郵便で送付した。Bは承諾の意思表示をしたが、その通知がAに到達する前に、AはBに対し申込みを撤回する旨の通知を発信した。 Aの撤回通知は有効か。また、契約は成立するか。
結論:撤回は有効であり、契約は成立しません。
民法527条により、申込みは相手方が承諾をするまでの間、撤回することができます。Bの承諾通知がAに到達する前に撤回通知が発信されているため、申込みの撤回は有効です。契約は成立しません。
押さえる:申込みの撤回は、相手方の承諾前であれば可能です。到達前の撤回も有効です。
AはBに対し、「本件についての回答を1週間以内にお願いします」として、甲土地の売買の申込みをした。Bは10日後に承諾の通知を発信した。 契約は成立するか。
結論:契約は成立しません。
民法546条により、承諾期間を定めた申込みについては、その期間内に承諾の通知を発しなければ、申込みは効力を失います。Bは期間経過後に承諾を発信しているため、申込みは既に効力を失っており、契約は成立しません。
押さえる:承諾期間を定めた申込みでは、期間の遵守が重要です。期間経過後の承諾は新たな申込みとなります。
試験での狙われ方
出題傾向と対策
| 出題頻度 | 2〜3 年に 1 回 |
|---|---|
| 出題実績 | 過去 37 年で 8 回・8 年分・最新 2022 年 |
| 重要度 | A:最重要。民法の基礎概念であり、他分野の理解にも不可欠だからです。 |
| 解き方のコツ | 申込みと承諾の到達時期を正確に把握し、時系列を整理する習慣をつけましょう。また、契約の成立と有効の区別を明確に理解しておくことが重要です。 |
よく問われるパターン
- 申込みと承諾の到達時期を問う時系列問題
- 契約成立時期と報酬請求権の関係を問う宅建業法との融合問題
- 申込みの撤回の可否を問う判断問題
- 承諾期間の定めの有無による効果の違いを問う比較問題
理解度チェック
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解説の理解を確認する自己テスト。詳しい解説はアプリで。
Q1【2014年 問37】宅地建物取引業者A及び宅地建物取引業者B(共に消費税課税事業者)が受け取る報酬に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。 ア Aが居住用建物の貸借の媒介をするに当たり、依頼者からの依頼に基づくことなく広告をした場合でも、その広告が貸借の契約の成立に寄与したとき、Aは、報酬とは別に、その広告料...
解答: 正解:4
なし
【解説】解説 したがって正しいものは「なし」になります。
Q2【2013年 問28】宅地建物取引業者A社が、Bから自己所有の甲宅地の売却の媒介を依頼され、Bと媒介契約を締結した場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。 ア A社が、Bとの間に専任媒介契約を締結し、甲宅地の売買契約を成立させたときは、A社は、遅滞なく、登録番号、取引価格、売...
解答: 正解:2
二つ
【解説】解説 したがって正しい記述は「二つ」です。
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よくある質問
契約の成立について
宅建の「契約の成立」とは何ですか?
契約の成立には、当事者間の意思表示の合致(申込みと承諾の一致)が必要です。民法555条は、契約が当事者間の申込みと承諾による合意によって成立することを定めています。ただし、成立した契約が直ちに拘束力を持つとは限らず、有効要件(当事者能力、意思能力、目的の適法性等)を満たす必要があります。また、消費者契約法等の特別法による規制も考慮が必要です。
「契約の成立」は宅建でよく出ますか?
本試験では過去 37 年間で 8 回、8 年分で出題されています。出題傾向は「2〜3 年に 1 回」です。
契約は当事者間の申込みと承諾の合意によって成立する。
○正解。民法555条が契約の成立要件として申込みと承諾による合意を定めています。
申込みは、相手方に到達した時に効力を生じる。
○正解。民法526条1項が到達主義を採用しており、相手方への到達時に効力が発生します。
契約が成立すれば、必ず法的拘束力が生じる。
×誤り。契約が成立しても、有効要件を満たさなければ拘束力は生じません。無効や取消しの原因がある場合は拘束力が生じません。
「契約の成立」の覚え方は?
「申込み到達で効力発生、承諾到達で契約成立」→到達主義の一貫性として覚える
・「撤回は承諾まで、期間付きは期間内」→申込みの撤回ルール
・「成立は合致、有効は要件」→契約の成立と有効の区別
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