平成3年(1991)本試験
問13有益費の償還について、旧民法では「価格の増加分」のみに限られる点(新民法では支出額か増加額を選択可)が最大のポイント。
権利関係借地借家法(借家)過去問
この問題の全体像
賃借人が支出した費用(必要費・有益費)の償還請求と造作買取請求権に関する民法及び借地借家法の規定の正誤を判定する問題です。
AがBからBの所有する建物を賃借している場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 1賃貸借契約の締結に関する費用は、ABが平等な割合で負担する。
- 2Aは、Bの負担すべき必要費を支出したときは、直ちに、Bに対しその償還を請求することができる。
- 3Aは、有益費を支出したときは、賃貸借終了の際、その価格の増加が現存する場合に限り、自らの選択によりその費した金額又は増加額の償還を請求することができる。
- 4Aは、Bの同意を得て建物に造作を付加したときは、賃貸借終了の際、Bに対し時価でその造作を買い取るべきことを請求することができる。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
有益費の償還について、旧民法では「価格の増加分」のみに限られる点(新民法では支出額か増加額を選択可)が最大のポイント。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
賃借人が支出した費用(必要費・有益費)の償還請求と造作買取請求権に関する民法及び借地借家法の規定の正誤を判定する問題です。
03
知識背景
賃貸借契約において、賃借物の修繕や改良のために賃借人が立て替えた費用を、賃貸人に請求できる権利(費用償還請求権)と、賃借人が付けた造…
04
覚え方
「必(ひっ)すぐ請求、有(ゆう)は終わりに増額のみ」
05
試験のコツ
「直ちに請求できるか」を問うパターン
・「償還額の算定基準(支出額か増加額か)」を問うパターン
・「造作買取請求権の可否」を問うパタ…
06
実務での見え方
賃借人がオーナーの許可を得てキッチンをリフォーム(有益費支出)した場合、退去時にその費用を全額請求できるか。
07
よくある間違い
{"mistake":"新民法の「支出額も選択可」を知っており、本問を正解と判断してしまう。","why_wrong":"過去問は出…
02深度分析
要約
賃借人が支出した費用(必要費・有益費)の償還請求と造作買取請求権に関する民法及び借地借家法の規定の正誤を判定する問題です。
法的根拠
民法558条(契約費用の負担)民法608条(賃借人による費用の償還)民法617条(造作買取請求権)借地借家法33条(造作買取請求権)
論理の流れ
選択肢1は契約費用の平等負担で民法558条の通り正しい。選択肢2は必要費の償還で直ちに請求できるため正しい。選択肢3は有益費の償還について、当時の民法(旧法)では「価格の増加が現存する場合に限り」その「増加額」を請求できるとされ、「支出した金額」を選択する権利はなかったため誤り。選択肢4は造作買取請求権で正しい。よって正解は3。
重要な区別
有益費の償還について、旧民法では「価格の増加分」のみに限られる点(新民法では支出額か増加額を選択可)が最大のポイント。
各選択肢のポイント
- 民法558条により、契約に関する費用は当事者が平等に負担する。
- 民法608条1項により、賃借人は必要費を支出したときは直ちに償還請求できる。
- 旧民法608条2項では「増加額」のみ請求可で、「支出した金額」を選択する権利はない。
- 民法617条・借地借家法33条により、賃借人は造作の買取請求ができる。
03知識背景
テーマ概要
賃貸借契約において、賃借物の修繕や改良のために賃借人が立て替えた費用を、賃貸人に請求できる権利(費用償還請求権)と、賃借人が付けた造作を賃貸人に買い取らせる権利(造作買取請求権)を扱う。
歴史的背景
2020年民法改正で有益費の償還ルールが変更され、賃借人は「支出した金額」か「増加額」のいずれかを選択できるようになった。本問は改正前の旧法に基づくため、「増加額」のみが正解となる。
関連法令
民法606条(修繕義務等)民法608条(費用の償還)民法617条(造作買取請求権)借地借家法33条
体系的位置づけ
宅建試験の民法分野における「賃貸借」の項目で、賃借人の権利義務の中核をなす重要論点。
前提知識
必要費(物の保存に必要な費用)と有益費(物の価値を高める費用)の区別、および造作(建物に付加された工作物)の定義を理解していること。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「必(ひっ)すぐ請求、有(ゆう)は終わりに増額のみ」
ビジュアル描写
壊れた水道を直す(必要費)のと、お風呂をリフォームする(有益費)のをイメージ。リフォームは退去時に家が高くなった分だけ返してもらう。
重要公式
有益費償還=価格の増加分(旧法)
関連連想
「有益」だから「増えた分」だけもらう(旧法のイメージ)。
比較表
必要費:直ちに全額請求可。有益費:終了時に増加分のみ(旧法)。造作:終了時に時価で買取請求。
05試験テクニック
出題頻度
2-3年に1回。費用償還と造作買取請求権は頻出論点。
重要度
A:改正前後の違いを問われる可能性が高く、非常に重要。
出題パターン
- 「直ちに請求できるか」を問うパターン
- 「償還額の算定基準(支出額か増加額か)」を問うパターン
- 「造作買取請求権の可否」を問うパターン
解法・消去法
必要費と造作の知識があれば、有益費の記述に注目して消去法で解答可能。
時間戦略
条文番号608条と617条を思い出せれば即答可能。迷ったら「有益費は制限付き」と覚えておく。
06実務応用
実務シナリオ
賃借人がオーナーの許可を得てキッチンをリフォーム(有益費支出)した場合、退去時にその費用を全額請求できるか。
実務への影響
原状回復費用の負担区分や、リフォーム投資の回収可能性に直結する実務上の重要なルール。
ケーススタディ
入居者がエアコンを設置した場合(造作)、退去時にオーナーに時価での買い取りを請求できるが、クロスの張替え(有益費)は価値の増加分しか請求できない。
業界関連性
賃貸借契約書の特約(原状回復条項)作成時や、不動産管理業務において必須の知識。
ニュース連動
空き家対策やリノベーション賃貸の普及に伴い、借主の投資回収ルールの見直しが議論されている。
07よくある間違い
新民法の「支出額も選択可」を知っており、本問を正解と判断してしまう。
なぜ間違えるか:過去問は出題当時の法律(旧法)に基づいて解答する必要があるため。
正しい理解:過去問を解く際は「現在の法律」ではなく「当時の法律」を適用する意識を持つ。
有益費の償還を「直ちに」請求できると勘違いする。
なぜ間違えるか:必要費のルールと混同しているため。
正しい理解:「必(ひっ)すぐ、有(ゆう)は終わり」の語呂で覚える。
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