借地借家法(建物)
借地借家法29条は、建物賃貸借における賃料増減請求権を規定しています。賃料が土地・建物に対する税負担の増減、土地・建物の価格の変動その他経済事情の変動、又は近傍類似建物の賃料と比較して不相当となった場合、当事者は契約条件にかかわらず、将来に向かって賃料の増減を請求できます。ただし、一定期間の賃料額を定める特約がある場合は、その期間内は請求できません。
借地借家法29条(建物賃貸借の賃料増減請求)借地借家法32条(借地の賃料増減請求)民法609条(賃料減額請求権)
重要度: 重要
要点
1.Aを賃貸人、Bを賃借人とする甲建物の賃貸借契約(定期建物賃貸借契約及び一時使用目的の建物の賃貸借契約を除く。以下この問において「本件契約」という。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。令和7年試験 問122.賃貸人Aと賃借人Bとが、居住目的で期間を3年として、借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約を締結した場合と、定期建物賃貸借契約でも一時使用目的の賃貸借契約でもない普通建物賃貸借契約を締結した場合とに関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。令和6年試験 問123.令和7年7月1日に締結された建物の賃貸借契約(定期建物賃貸借契約及び一時使用目的の建物の賃貸借契約を除く。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。令和5年試験 問124.Aは、B所有の甲建物(床面積100㎡)につき、居住を目的として、期間2年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約をBと締結してその日に引渡しを受けた。この場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているもの
体系における位置づけ
借地借家法は、建物の賃貸借に関する特別法であり、民法の特則として位置づけられます。賃借人の居住の安定を図ることを目的とし、建物賃貸借契約の更新・解約・賃料増減請求などに関する規定を設けています。特に普通建物賃貸借と定期建物賃貸借の区別、賃料増減請求権、更新拒絶の正当事由などが重要論点です。
ルールの詳細
・賃料増減請求は、当事者双方に認められます。賃貸人からの増額請求、賃借人からの減額請求の双方が可能です。
・請求事由は3つあります:①税等の負担増減、②価格変動等経済事情の変動、③近傍類似建物の賃料との不相当性。いずれか一つで足ります。
・「契約の条件にかかわらず」とは、当事者間で賃料を特約で定めていても、増減請求が可能であることを意味します。
・「将来に向かって」効力が生じます。過去の賃料に遡って変更することはできません。
・増減請求は意思表示のみで効力が生じ、相手方の承諾は不要です。ただし、実際の額は合意又は裁判で確定します。
・協議が調わない場合、当事者は裁判所に対し賃料増減の判決を求めることができます。
例外
・一定期間の賃料額を定める特約がある場合、その期間内は増減請求ができません(29条ただし書)。
・一時使用目的の建物賃貸借には借地借家法の規定は適用されません(借地借家法39条)。
・定期建物賃貸借の場合、期間満了による契約終了が原則ですが、賃料増減請求自体は可能です。
比較・対照
29条は賃料調整制度であり、契約継続中の経済的公平性を確保します。更新・解約制度とは別の独立した制度として理解する必要があります。
記憶テクニック
・「税・価・近」で覚える:税負担の増減、価格変動、近傍類似建物との比較の3事由。
・「将来向かって」:賃料増減の効果は過去に遡及せず、将来に向かってのみ生じる。
・「特約は例外」:一定期間の賃料固定特約がある場合、その期間内は増減請求不可。
事例で確認
「借地借家法(建物)」はこう問われる
AはB所有の建物を月額10万円で賃借し、5年間居住している。この間、固定資産税が大幅に増額され、近隣の類似建物の賃料も月額15万円程度に上昇した。Aは賃料増額を請求できるか。 賃貸人Bは賃料増額を請求できるか。また、賃借人Aは拒否できるか。
結論:賃貸人Bは賃料増額を請求できます。ただし、増額額は協議又は裁判で決まります。
借地借家法29条に基づき、固定資産税の増額(税負担の増減)及び近隣相場の上昇(近傍類似建物の賃料との不相当性)を理由として、賃貸人Bからの賃料増額請求が可能です。賃料増減請求は一方的意思表示で効力が生じますが、実際の増額額については協議又は裁判で決定します。
押さえる:賃料増減請求は一方的意思表示で可能ですが、具体的額の決定には相手方の合意又は裁判が必要です。
AとBは、建物賃貸借契約において「3年間は賃料を月額10万円とし、増減しない」との特約を結んだ。1年後、経済情勢の変動により賃料相場が変動した。 賃貸人A又は賃借人Bは、この特約がある場合でも賃料増減を請求できるか。
結論:特約があるため、3年間は賃料増減請求ができません。
借地借家法29条ただし書は「一定の期間の賃料の額を定める特約がある場合には、その期間内は、賃料増減請求をすることができない」と規定しています。本件では3年間の賃料固定特約があるため、その期間内は増減請求ができません。
押さえる:賃料固定特約は有効であり、その期間内は増減請求が制限されます。ただし書の例外を理解することが重要です。
試験での狙われ方
出題傾向と対策
| 出題頻度 | 毎年複数回出題 |
|---|---|
| 出題実績 | 過去 37 年で 40 回・35 年分・最新 2025 年 |
| 重要度 | A:最重要。借地借家法の基本条文であり、実務でも重要。必ず理解が必要です。 |
| 解き方のコツ | 29条の3つの請求事由を暗記し、ただし書の特約の例外を確実に理解すること。将来効の原則も押さえること。 |
よく問われるパターン
- 賃料増減請求が可能な場合(3つの事由)を問う問題
- 一定期間の賃料固定特約の効力を問う問題
- 賃料増減請求の効果が生じる時期(将来効)を問う問題
- 増減請求の手続・方法を問う問題
- 普通建物賃貸借と定期建物賃貸借の比較問題
理解度チェック
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Q1No.1
解答: 正解: 3。AB間の売買契約が、BC間の売買契約締結よりも前にAにより解除されていた場合、又は、BC間の売買契約締結後にAにより解除された場合のいずれの場合であっても、Cは、甲土地の所有権移転登記を備えれば、Aに
Q2No.1
解答: 正解: 3。本件売買契約につき、取消しがなされないままAが成年に達した場合、本件売買契約についてBが反対していたとしても、自らが取消権を有すると知ったAは、本件売買契約を追認することができ、追認後は本件売買契約を
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よくある質問
借地借家法(建物)について
宅建の「借地借家法(建物)」とは何ですか?
借地借家法29条は、建物賃貸借における賃料増減請求権を規定しています。賃料が土地・建物に対する税負担の増減、土地・建物の価格の変動その他経済事情の変動、又は近傍類似建物の賃料と比較して不相当となった場合、当事者は契約条件にかかわらず、将来に向かって賃料の増減を請求できます。ただし、一定期間の賃料額を定める特約がある場合は、その期間内は請求できません。
「借地借家法(建物)」は宅建でよく出ますか?
本試験では過去 37 年間で 40 回、35 年分で出題されています。出題傾向は「毎年複数回出題」です。
借地借家法29条の賃料増減請求は、賃貸人からのみ可能であり、賃借人からは請求できない。
誤り。賃料増減請求は賃貸人・賃借人の双方から可能です。条文は「当事者は」と規定しています。
賃料増減請求の効果は、過去に遡及して生じる。
誤り。賃料増減請求の効果は「将来に向かって」生じます。過去の賃料を遡って変更することはできません。
当事者間で「3年間は賃料を変更しない」という特約がある場合、借地借家法29条の賃料増減請求は3年間はできない。
正しい。借地借家法29条ただし書は、一定期間の賃料額を定める特約がある場合、その期間内は増減請求ができないとしています。
「借地借家法(建物)」の覚え方は?
「税・価・近」で覚える:税負担の増減、価格変動、近傍類似建物との比較の3事由。
・「将来向かって」:賃料増減の効果は過去に遡及せず、将来に向かってのみ生じる。
・「特約は例外」:一定期間の賃料固定特約がある場合、その期間内は増減請求不可。
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