宅建コーチ
権利関係10 年に数回過去 37 年で 2 回出題

無効と取消

無効とは、法律行為が始めから当然に効力を生じないことをいい、誰でも主張でき、追認によっても治癒されません。一方、取消とは、取消権者が取消しの意思表示をすることによって、法律行為の効力が遡及的に消滅する制度です。取消は取消権者を保護する目的で設けられており、取消前は一応有効な法律行為として扱われます。

民法90条(公序良俗違反の法律行為の無効)民法91条(強行規定違反の法律行為の無効)民法93条但書(心裡留保の無効)

重要度: 重要

要点
無効とは、法律行為が始めから当然に効力を生じないことをいい、誰でも主張でき、追認によっても治癒されません。一方、取消とは、取消権者が取消しの意思表示をすることによって、法律行為の効力が遡及的に消滅する制度です。取消は取消権者を保護する目的で設けられており、取消前は一応有効な法律行為として扱われます。
体系における位置づけ
民法(権利関係)は宅建試験の4科目の中で最も難易度が高く、配点比重も大きい科目です。中でも法律行為の効力に関する「無効と取消」は、意思表示や契約の有効性を判断する基礎概念であり、民法全体の理解に直結する核心分野です。この分野を理解することで、契約法全般の問題解決能力が向上します。
ルールの詳細
無効な法律行為は、当事者間だけでなく第三者に対しても主張できるのが原則です。ただし、虚偽表示の無効は善意の第三者に対抗できないという例外があります。 ・取消権者は、制限行為能力者、詐欺・強迫を受けた者など、保護を必要とする者に限定されます。取消権を有しない者は取消しを主張できません。 ・取消しは、相手方のある単独行為または契約については、相手方に対する意思表示によって行います(民法119条)。 ・追認がなされると取消権は消滅し、法律行為は確定的に有効となります(民法122条)。 ・取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないとき、または法律行為の時から20年を経過したときは、時効によって消滅します(民法126条)。 ・無効な法律行為について追認をしても、その無効は治癒されません。ただし、新たな法律行為とみなされる場合は有効となります。 ・取消された法律行為は、初めから無効であったものとみなされます(民法121条)。これを「遡及効」といいます。
例外
虚偽表示(民法94条)の無効は、善意無過失の第三者には対抗できません。これは取引の安全を図るための例外です。 ・心裡留保(民法93条)は原則として有効ですが、相手方が真意を知っていた(悪意)場合に限り無効となります。 ・詐欺による意思表示の取消しは、善意無過失の第三者には対抗できません(民法96条3項)。強迫にはこの規定は適用されません。 ・制限行為能力者の詐術(民法20条)を用いた場合、その行為は取消すことができません。保護に値しないからです。
比較・対照
無効は「始めから効力なし・誰でも主張可・期間制限なし」、取消は「取消までは有効・取消権者のみ・期間制限あり」と区別します。試験では、どちらの制度が適用されるか、第三者保護の有無が頻出論点です。
記憶テクニック
「無効は絶対、取消は相対」:無効は誰でも主張できる絶対的なもの、取消は取消権者のみが主張できる相対的なものと覚える。 ・「取消しは5・20」:取消権は追認可能時から5年、行為時から20年で消滅(民法126条)。 ・「虚偽表示は善意保護、詐欺は善意無過失保護」:第三者保護の要件の違いを語呂合わせで記憶。
事例で確認

無効と取消」はこう問われる

未成年者A(17歳)が、親の同意を得ずに高額のスポーツカーを購入する契約を結びました。Aは成年に達した後、この契約を追認しましたが、その後やはり取消したいと考えています。 Aは成年に達した後の追認を撤回して、契約を取り消すことができるでしょうか。
結論:追認後の取消しはできません。
未成年者取消権は、法定代理人が追認できる時から5年、または本人が成年に達した時から5年で消滅します(民法126条)。成年に達した後の追認は有効であり、追認により取消権は消滅します(民法122条)。したがって、追認後は取消すことができません。
押さえる:追認の効果は絶対的であり、取消権を消滅させます。成年に達した後の追認は有効です。
AとBが通謀して、A所有の土地をBに売り渡したことにし、登記もB名義に移転しました。実態としては売買は存在しません。その後、Bがこの土地をCに売却し、Cは登記を備えました。CはAとBの虚偽表示について知りませんでした。 AはCに対して、自分が真の所有者であると主張できるでしょうか。
結論:AはCに対抗できません。Cが所有権を取得します。
虚偽表示による意思表示は無効です(民法94条1項)。しかし、虚偽表示の無効は善意の第三者に対抗できません(民法94条2項)。Cは善意であり、登記も備えているため、AはCに対抗できません。
押さえる:虚偽表示の無効は善意の第三者保護という重要な例外があります。登記の有無も重要です。
試験での狙われ方

出題傾向と対策

出題頻度10 年に数回
出題実績過去 37 年で 2 回・2 年分・最新 1994 年
重要度A:最重要。民法の基礎概念であり、他分野との関連も深いため、確実に得点すべき分野です。
解き方のコツ無効と取消の対照表を作成し、相違点を整理して暗記してください。特に「誰が主張できるか」「期間制限の有無」「第三者保護の要件」は必須知識です。条文番号(民法94条、96条、126条等)も併せて覚えましょう。
よく問われるパターン
  • 無効と取消の性質の違いを問う問題(主張できる者、期間制限等)
  • 虚偽表示の無効と第三者保護を組み合わせた問題
  • 制限行為能力者の取消権と追認の時期・効果を問う問題
  • 詐欺・強迫の取消しと第三者保護の要件を問う問題
  • 無効行為の転換や追認の効果を問う問題
理解度チェック

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Q1No.1
解答: 正解: 3。本件売買契約につき、取消しがなされないままAが成年に達した場合、本件売買契約についてBが反対していたとしても、自らが取消権を有すると知ったAは、本件売買契約を追認することができ、追認後は本件売買契約を
Q2No.1
解答: 正解: 3。Bの取得時効完成後、Bへの所有権移転登記がなされないままEがAを債務者として甲土地にAから抵当権の設定を受けて抵当権設定登記をした場合において、Bがその後引き続き所有の意思をもって平穏にかつ公然と時効
よくある質問

無効と取消について

宅建の「無効と取消」とは何ですか?
無効とは、法律行為が始めから当然に効力を生じないことをいい、誰でも主張でき、追認によっても治癒されません。一方、取消とは、取消権者が取消しの意思表示をすることによって、法律行為の効力が遡及的に消滅する制度です。取消は取消権者を保護する目的で設けられており、取消前は一応有効な法律行為として扱われます。
「無効と取消」は宅建でよく出ますか?
本試験では過去 37 年間で 2 回、2 年分で出題されています。出題傾向は「10 年に数回」です。
無効な法律行為は、当事者が追認すれば、その無効は治癒され、有効な法律行為となる。
誤り。無効な法律行為について追認をしても、その無効は治癒されません(民法119条参照)。ただし、追認の時に新たな法律行為をしたと認められる場合は、有効となります。
取消された法律行為は、取消しの時から無効となる。
誤り。取消された法律行為は、初めから無効であったものとみなされます(民法121条)。これを「遡及効」といいます。
虚偽表示による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
正しい。民法94条2項により、虚偽表示の無効は善意の第三者に対抗できません。ただし、第三者に過失があっても対抗できません。
「無効と取消」の覚え方は?
「無効は絶対、取消は相対」:無効は誰でも主張できる絶対的なもの、取消は取消権者のみが主張できる相対的なものと覚える。 ・「取消しは5・20」:取消権は追認可能時から5年、行為時から20年で消滅(民法126条)。 ・「虚偽表示は善意保護、詐欺は善意無過失保護」:第三者保護の要件の違いを語呂合わせで記憶。
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