宅建コーチ
権利関係2〜3 年に 1 回過去 37 年で 11 回出題

無権代理

無権代理とは、代理権を有しない者が代理人として行った法律行為をいう。本人に無断で代理行為を行うことは本人の意思に反するため、原則として本人に対して効力を生じない。しかし、取引の安全を図るため、本人には追認権を、相手方には取消権・催告権を認め、無権代理人には善意・悪意を問わず責任を負わせることで、当事者間の利益調整を図っている。

民法113条(無権代理行為の本人に対する効力)民法114条(相手方の催告権)民法115条(相手方の取消権)

重要度: 頻出

要点
無権代理とは、代理権を有しない者が代理人として行った法律行為をいう。本人に無断で代理行為を行うことは本人の意思に反するため、原則として本人に対して効力を生じない。しかし、取引の安全を図るため、本人には追認権を、相手方には取消権・催告権を認め、無権代理人には善意・悪意を問わず責任を負わせることで、当事者間の利益調整を図っている。
体系における位置づけ
民法(権利関係)は、私人間の権利義務関係を規律する法分野であり、宅建試験では権利の変動、物権、債権、相続など幅広い範囲から出題される。代理制度は法律行為を本人に代わって行う重要な制度で、有効な代理、表見代理、無権代理の3つの類型を正確に理解することが不可欠である。
ルールの詳細
無権代理行為は本人に対して効力を生じないが、本人が追認すれば遡及的に有効となる(民法113条)。追認拒絶も可能である。 ・相手方は本人に対して相当の期間を定めて追認するか否かの催告をすることができ、本人が期間内に確答しない場合は追認を拒絶したものとみなされる(民法114条)。 ・相手方は本人が追認するまでの間、無権代理行為を取り消すことができる。ただし、相手方が善意であることを要しない(民法115条)。 ・無権代理人は、相手方が善意無過失の場合、履行または損害賠償の責任を負う。相手方に過失がある場合は過失相殺される(民法117条)。 ・無権代理人が本人を詐称して契約をした場合、相手方は善意無過失であれば無権代理人に履行または損害賠償を請求できる。 ・無権代理人が本人を相続した場合、本人としての地位と無権代理人としての地位が同一人に帰属し、単独で有効な追認が可能とされる(判例)。
例外
本人が追認を拒絶した後に無権代理人が本人を相続した場合、無権代理行為は有効とはならない。追認拒絶で確定した法律関係を覆せないからである(最判平10.7.17)。 ・本人が追認拒絶前に無権代理人が本人を相続した場合、無権代理人は単独で追認でき、本人として追認拒絶することは許されない(判例)。 ・相手方が無権代理であることを知り、または過失によって知らなかった場合、無権代理人は責任を負わない(民法117条但書)。
比較・対照
無権代理と表見代理の最大の違いは、本人が責任を負うか否かである。表見代理では本人が有効と主張できるが、無権代理では本人は責任を負わない。ただし、無権代理人自身が責任を負う点に注意。
記憶テクニック
「無権代理は本人無効、追認で有効、拒絶で確定無効」—基本構造を一言で表現。 ・「相手方の権利は催告と取消、善意無過失で代理人に責任」—相手方の保護と無権代理人の責任をセットで記憶。 ・「相続前は追認可能、相続後拒絶は無効確定」—追認拒絶の前後で結論が変わることを整理。
事例で確認

無権代理」はこう問われる

A所有の土地について、Aから代理権を与えられていないBが、Aの代理人としてCとの間で売買契約を締結した。CはBに代理権がないことを知らなかったが、確認を怠る過失があった。その後、Aが死亡し、BがAの唯一の相続人となった。 BはAの追認拒絶権を相続し、自らの無権代理行為の追認を拒絶できるか。
結論:Bは追認拒絶することはできず、自己の無権代理行為を追認して有効とすることができる。
本人Aが追認拒絶前にBがAを相続した場合、Bは本人としての地位と無権代理人としての地位を併せ持つ。判例によれば、この場合Bは単独で追認できるが、本人として追認拒絶することは許されない。無権代理人が本人を相続した場合、本人保護の必要性が薄くなるためである。
押さえる:相続と無権代理の組み合わせは判例の重要論点。追認拒絶の前後で結論が異なる。
D所有の建物について、Dから代理権を与えられていないEが、Dの代理人としてFとの間で売買契約を締結した。FはEに代理権がないことを知っていた。Dはこの契約を追認しない意思を明示した。 FはEに対して損害賠償を請求できるか。
結論:FはEに対して損害賠償を請求することはできない。
民法117条によれば、無権代理人は相手方が善意無過失である場合に責任を負う。FはEに代理権がないことを知っていた悪意の相手方であるため、無権代理人Eに対して責任を追及することはできない。悪意の相手方は保護に値しないとされる。
押さえる:無権代理人の責任が認められるには、相手方が善意無過失であることが必要。
試験での狙われ方

出題傾向と対策

出題頻度2〜3 年に 1 回
出題実績過去 37 年で 11 回・11 年分・最新 2021 年
重要度A:最重要。民法の中でも特に判例論点が多く、難問が出題されやすい分野。
解き方のコツ民法113条〜118条の条文を正確に暗記し、判例の結論(特に相続との組み合わせ)を整理しておくことが得点の鍵。相手方の善意無過失が必要であることを忘れないこと。
よく問われるパターン
  • 無権代理人の責任の要件として、相手方の善意無過失が必要であることを問う問題
  • 相続と無権代理の組み合わせで、追認拒絶の前後で効果が異なることを問う問題
  • 相手方の取消権・催告権の内容と行使方法を問う問題
  • 無権代理と表見代理の違いを問う比較問題
理解度チェック

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Q1【2019年 問5】次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び判例並びに下記判決文によれば、誤っているものはどれか。 (判決文) 本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではないと解するのが相当である。けだし、無権代理人がした行為は、本人がそ...
解答: 正解:2 本人が追認拒絶をした後に無権代理人が本人を相続した場合と、本人が追認拒絶をする前に無権代理人が本人を相続した場合とで、法律効果は同じである。 【解説】解説 したがって誤っている記述は[2]です。 参考URL: 最判平10.7.17 https://www.courts.go.jp/hanrei/52792/d...
Q2【2012年 問4】A所有の甲土地につき、Aから売却に関する代理権を与えられていないBが、Aの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、表見代理は成立しないものとする。
解答: 正解:2 Aの死亡により、BがAの唯一の相続人として相続した場合、Bは、Aの追認拒絶権を相続するので、自らの無権代理行為の追認を拒絶することができる。 【解説】解説 したがって誤っている記述は[2]です。
よくある質問

無権代理について

宅建の「無権代理」とは何ですか?
無権代理とは、代理権を有しない者が代理人として行った法律行為をいう。本人に無断で代理行為を行うことは本人の意思に反するため、原則として本人に対して効力を生じない。しかし、取引の安全を図るため、本人には追認権を、相手方には取消権・催告権を認め、無権代理人には善意・悪意を問わず責任を負わせることで、当事者間の利益調整を図っている。
「無権代理」は宅建でよく出ますか?
本試験では過去 37 年間で 11 回、11 年分で出題されています。出題傾向は「2〜3 年に 1 回」です。
無権代理行為は、本人に対して効力を生じないが、本人が追認すれば、その時点から有効となる。
誤り。追認があれば、無権代理行為は「当初から有効」であったことになる(民法113条2項)。遡及効がある点に注意。
無権代理行為の相手方は、善意であっても悪意であっても、本人が追認するまでの間、その行為を取り消すことができる。
正しい。民法115条は相手方の取消権を認めており、善意・悪意を問わない。相対的無効の性質を持つためである。
無権代理人は、相手方が無権代理であることを知っていた場合でも、損害賠償責任を負う。
誤り。民法117条但書により、相手方が無権代理であることを知り、または過失によって知らなかった場合、無権代理人は責任を負わない。
「無権代理」の覚え方は?
「無権代理は本人無効、追認で有効、拒絶で確定無効」—基本構造を一言で表現。 ・「相手方の権利は催告と取消、善意無過失で代理人に責任」—相手方の保護と無権代理人の責任をセットで記憶。 ・「相続前は追認可能、相続後拒絶は無効確定」—追認拒絶の前後で結論が変わることを整理。
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